高額賠償の事故が発生するなか、自転車整備と 保険加入に注力する「自転車の駅サガミ」(新潟市)

左から佐上博社長、キャリア30年以上で自転車協会認定のSBAAプラスの資格を持つ小林敏明店長、キャリア15年以上でSBM(スポーツ自転車)の資格を持つメカニック・チーフの山田圭二さん

佐上商会(新潟市東区)では、自転車の販売・整備店と、二輪車の販売・整備店を新潟市東区で展開する。このうち自転車の販売・整備店「自転車の駅サガミ」には、様々なブランドの電動自転車、スポーツバイクを中心に、おしゃれな自転車、カスタムパーツ、関連用品がずらりと並んでいる。特に、個別のオーダー部品を丁寧に組み合わせて完成させるオリジナルのカスタム自転車は、自転車愛好家から圧倒的な支持を得ている。また今後、大型二輪車に乗らないという顧客からバイクを下取りし、自転車を販売するという下取買取も行なっている。

販売に加えて、自転車競技の実業団チーム「サガミレーシング」、愛好家お楽しみクラブ「ORZ RACINGクラブ」、MTB・シクロクロス専用のコース「角田浜トレイユ」などを運営管理し、自転車愛好家のすその拡大にも注力している。
ただ、最も力を入れているのは、アフターメンテナンス整備だ。その背景には、自転車が軽車両であるにもかかわらず、購入してから1度も定期的な点検・整備を行わない自転車が少なからずあることが挙げられる。「タイヤがすり減ったり、ブレーキの効きが悪くなったりすれば、事故を引き起こす原因にあります。しかし、車に比べると、自転車の車検整備(年1度)に関心が集まっていない現状がある」と佐川博社長は話す。

様々なブランドの電動自転車、スポーツバイクを中心に、おしゃれな自転車、カスタムパーツ、関連用品がずらりと並んでいる

 

車検・点検整備付き自転車向け保険「TSマーク」

自転車は免許がなくても気軽に乗れる一方、道路交通法では軽車両として車や二輪車と同様に扱われている。最近はスマホを見ながら自転車を運転するという危険な行為がテレビなどで取り上げられていることもあり、自転車による事故にも注目が集まるようになっている。その中には、裁判所の判決で高額賠償を命じられたケースもある。

例えば、当時11才だった男児が夜、自転車で走行していたところ、歩道と車道の区別のない道路を歩行していた62才の女性と正面衝突。女性は、頭の骨を折るなどし、意識が戻らない状態となった事故。平成25年に神戸地方裁判所の判決で、9521万円という高額賠償が言い渡されている。

そうした高額な判決に至らなくても、平成30年に新潟県内では146件の自転車事故が発生し、4人がなくなっている。こうしたことを考えると、決して他人事とは言えない。そうした中、自転車の駅サガミでは、自転車向け保険の加入を積極的に進めていて、同店で購入するお客には、必ず自転車向け保険に加入してもらっているのだという。

その自転車向け保険で、ポピュラーなのがTSマークだ。自転車安全整備士が点検確認した普通自転車(車でいうと、車検を受けた車)に貼付されるもので、このマークには傷害保険と賠償責任保険、被害者見舞金が付いている。年間わずか2〜3000円の料金だが、他人に死亡または重度後遺症障害をおわせて損害賠償責任が生じた場合、最高1億円補償される(※TSマークには青色マーク(第一種)と赤色マーク(第二種)があるが、傷害保険と賠償責任保険、被害者見舞金が付いているのは赤色マークのみ。また新潟県内は赤色マークのみという)。全国では、この自転車向け保険の加入を義務化する条例を制定する自治体も増えてるという。

TSマーク

ただ、量販店など販売した後のフォローがない自転車店も少なからずあり、自転車保険の加入率はまだ決して高いとは言えない。昨年4月の各紙の報道によると、特に新潟県の加入率は低く、44.6%と全国37位にとどまっている(全国平均は56%)。
そうした中、車検と言えるTSマークを重視する「自転車の駅サガミ」では、キャリア30年以上で自転車協会認定のSBAAプラスの資格を持つ小林敏明店長、キャリア15年以上でSBM(スポーツ自転車)の資格を持つメカニック・チーフの山田圭二さんが、丹念に自転車の整備を行なっている。「1台でも多くの自転車を安全な状態にしたいと考えています。このため佐上商会では、インターネットや他店で購入した人の自転車でも、(社是として掲げている)丁寧、安全確実、迅速に整備しています」と佐上社長は語る。

メカニック・チーフの山田圭二さん

佐上博社長

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