新潟県が令和4年度当初予算(案)を発表、今年度の補正含め1兆4,623億円

新潟県の花角英世知事

新潟県の花角英世知事が16日、令和4年度当初予算(案)を発表した。令和4年度一般会計予算の当初予算規模は1兆3,562億円で、令和3年との比較で△13.6%の減。令和4年度当初予算と令和3年度2月冒頭補正予算を一体編成した「16ヶ月」予算としては1兆4,623億円で、令和3年度・令和2年度補正予算の合計との比較では△0.2%の減で、ほぼ前年並みとなった。また、予算のうち新型コロナウイルス感染症対策関連の予算は2,362億円。

予算編成にあたっては、令和4年度当初予算と令和3年度2月冒頭補正予算を一体編成することにより、有利な財源を活用しながら切れ目のない予算編成を実施するとし、コロナ対策と社会経済活動の維持・回復の両立に向けての取組み、ポスト・コロナ社会の成長基盤となる中長期的な課題を踏まえながら「住んでよし、訪れてよしの新潟県」の実現の推進、行財政改革行動計画の取組みの推進を予算編成の柱とした。

歳入に関しては、県税と贈与税の合計が3,153億円で、令和3年度と比較して345億円の増(12.3%増)となった。一方で、普通交付税と臨時財政対策債の合計は2,643億円で、令和3年度から△425億円の減(△13.9%減)となった。

また、これまでは収入より支出が多くなる予算編成だったが、令和4年度予算案では収支が改善。いわゆる貯金の取り崩しである財源対策基金繰入金と県債管理基金の取り崩しは合わせて40億円(財源対策的基金繰入金40億円+県債管理基金0円)で、令和3年度予算から△30億円減と収支が改善する。さらに50億円の積戻しを予定しており、これにより収支は均衡し、収支改善が実現する形となる。

 

新型コロナウイルス感染拡大防止と社会経済活動の両立

新型コロナウイルス感染拡大防止対策や医療提供体制の確保に万全を期すほか、ウィズコロナの下での社会経済活動の維持と回復に向けた支援を継続していく。

入院病床確保事業として219億円余りを予算化し、新型コロナウイルス感染患者が入院する病床を確保するための費用に充てる。

また社会活動の維持や回復に向けた支援として、新型コロナウイルス対応新事業チャレンジ支援事業を拡充。デジタル技術を活用した取組みや脱炭素化に貢献する取り組みに支援枠を創設する。

加えて、現在は停止されている「使っ得!にいがた県民割キャンペーン」などの県内観光需要喚起緊急対策事業の実施として147億円余りを予算化した。

 

ポスト・コロナ社会における中長期的な成長・発展に向けた取組み

新潟県の花角英世知事

分散型社会やデジタル化社会の進展をはじめとする社会経済の変化や、脱炭社会への転換など、新たな課題に対する取り組みを推進し、中長期的な成長・発展に向けた取り組みを行う。

分散型社会への対応については、IT関連企業の誘致促進や、U・Iターン施策の推進に取り組む。加えて関係人口の創出として、県版の地域おこし協力隊を新たに導入。広域的な課題の解決を図るとともに、移住希望者の呼び水とするためその活躍ぶりを発信するという。

デジタル改革の実行については、産業・暮らし・行政の3分野におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を図る。暮らしのDXにおいては、地域医療の課題解決に向けたオンライン診療の検討やAIによる救急相談サービスの導入が予定されている。また、県立高等学校に1人1台のタブレット端末を整備する為のICT環境整備費用として、19億円余りが予算化された。

脱炭素社会への転換については、脱炭素先行地域パッケージ支援事業を新たに始める。県内に脱炭素先行モデル地域を創出し、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)、屋根置太陽光発電、次世代自動車の導入促進など、先駆的な脱炭素の取組みを行う市町村を支援する。

また県有施設の太陽光発電設備設置事業として、佐渡地域振興局の太陽光発電設備および蓄電池の設置を行うという。

令和4年度当初予算(案)について花角知事は、「バランスが取れた、色々なところに目配りができた予算だと思っている。(予算作成について)意識していたことは、中長期的な新潟県の成長・発展のために、どのようにして種を仕込み、苗を育てていくか。分散型社会への対応、デジタル改革の実行、脱炭素社会への転換、この3つがキーワードであり、これに沿う事業を行っていきたい」と話した。

加えて県の財政については、「令和元年に行財政の行動計画を定めて3年が経つが、一歩一歩着実に進んできて、令和4年度予算で収支が均衡した予算を組むところまでたどり着いた。令和13年度に公債費返済の山を迎えるが、この高い山をどう乗り越えるか。もう一段、行財政改革を進めなければならず、まだ道半ばだ」と述べた。

なお第2期目となる知事選の出馬表明について花角知事は、「(令和4年度当初予算案は)新潟県の中長期の成長発展の礎となる事業を盛り込んできたつもり。この撒いた種、植えた苗を育てるのは私自身の責務ではないか、私自身がその役割を担わせてもらいたい、という考えに至り決断した」と知事選出馬決定への思いを語った。

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