燕市が入札妨害事件の再発防止策を公表
燕市は、同市が派遣している燕・弥彦総合事務組合水道局職員が今年2月15日に、公契約関係競売入札妨害容疑で逮捕されたことを受け、再発防止策(中間報告)を取りまとめた。
職員は、設計価格が記載された「平成31年度水道工事執行状況一覧表」の電子データをUSBメモリで持ち出し、株式会社カトーの社員に教示。これによりカトーは最低制限価格より1万円高いだけの金額で落札した。職員は起訴休職(無休)の処分を受けているほか、カトーも1年間の入札参加有資格者の指名停止処分を受けている。
この逮捕を受け、市では、庁内に検討プロジェクトチームを立ち上げ、再発防止策の検討を重ねてきて、3月25日に中間報告を取りまとめた。
その中間報告では
・倫理意識の高揚とコンプライアンスの徹底
・管理体制の強化と適正な人事ローテーションの実施
・情報セキュリティ対策の徹底と強化
・入札・契約制度の見直し
を掲げている。
このうち、「管理体制の強化と適正な人事ローテーションの実施」では、管理体制を強化するため、弥彦村と協議をしたうえで、同組合の副管理者を複数制にするよう次回の燕・弥彦総合事務組合議会に、組合規約の一部改正を提案するという。具体的には。副管理者を弥彦村長の1人から、弥彦村長、燕市副市長の2人にする改正案を提案する。
また、起訴後に行った職員への事情聴取から、不正行為の発端が、長年の仕事上の付き合いが個人的な交際にまで発展したことによるものであることが判明したことから、弊害が生じないよう、適正な人事ローテーションを実施する(なお不正行為をした職員の水道局の継続勤務年数は15年目だったという)。
「情報セキュリティ対策の徹底と強化」では、適切な文書保管体制を徹底的に推し進める。
今回の不正行為の発生を受け、水道局の情報管理の実態を点検したところ、担当以外の職員が閲覧できる文書フォルダに文書が保管されていたケースがあったことから、あらためて全庁をあげて対策の徹底と強化を進めるもの。
入札・契約制度の見直しでは、指名停止期間の厳格化などを検討するほか、近年、ほかの自治体で導入が進められている制度(あらかじめ最低制限価格を設定せず、入札後に一定の条件のもと、最低制限価格が算出される制度)の導入を検討する。
最終報告は、他自治体の入札・契約制度の事例調査などを行い、9月末までに取りまとめる予定だ。