新潟県糸魚川市にあるデンカ青海工場が、新型コロナ向け薬品の原料生産へ
化学メーカーのデンカ(東証1部上場、山本学社長)は、日本政府の要請を受け、新型コロナウイルス感染症患者の治療薬として期待される抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」の原料となる、マロン酸ジエチルを供給することを決定した。国内唯一のマロン酸ジエチルのメーカーである同社は、新潟県糸魚川市の青海工場の設備を再稼働し、今年5月から生産を開始する。
アビガンは富士フィルム富山化学が開発した抗インフルエンザ薬。新型コロナウイルスへの治療効果も期待されるとされ、同社はアビガンの国内薬事承認を進める日本政府から、国内での一貫した供給体制を構築するための国産の原料を使用したいとの要請を受け、マロン酸ジエチルの供給を決めた。
マロン酸ジエチルは合成香料や農薬、医薬品などの原料として使用される有機化合物で、アビガンの原料となり、2017年4月までグループ内で原料から最終製品まで一貫生産体制で行ってきた。今回、青海工場の設備を再稼働し、生産を開始する。
同社コーポレートコミュニケーション部は「企業の社会的責務として、迅速に対応し、貢献していきたい」と話している。
今回の発表は2日に行われたが、このニュースに市場も即反応。3日の株価終値は2,581円で、前日比500円上昇のストップ高。値上がり率で東証1部トップであった。