三重大学ら研究者チームが、豪雪をもたらすJPCZ(日本海寒帯気団収束帯)の日本海洋上での観測に初めて成功
国立大学法人三重大学(三重県津市)は21日、オンラインによる記者会見を開催し、研究チームにより、豪雪をもたらすJPCZ(日本海寒帯気団収束帯)の日本海洋上での観測に初めて成功したことを発表した。研究チームは三重大学のほか、新潟大学(新潟市西区)、水産大学校(山口県下関市)、東京大学(東京都文京区)の教授や大学院生らが参加し、豪雪のメカニズムを解明するための貴重なデータが収集された。
研究チームは、JPCZの実態を把握することを目的として大気海洋同時移動観測を2022年1月下旬に実施。1時間毎の気球観測とそれと同期した海洋観測によって、JPCZの実態とそれに及ぼす暖かい海洋の影響を捉えることに初めて成功した。
研究により、豪雪のさらなる解明と予測において新たな鍵となるとともに、地球温暖化の研究や防災などにも役立つことが期待できるという。
三重大学大学院生物資源学研究科の立花義裕教授は「JPCZの発生は、冷たい寒波に対して、海水温が温かいと発生しやすくなり、1日あたり最大で約2メートルの降雪量をもたらす。また地球温暖化の影響で、対馬暖流の温度が上がっており、これからますます上昇することが予想される」と説明した。
また、今回の観測について、新潟大学自然科学系地球・生物科学系列の本田明治教授は、「JPCZは衛星画像ではここにあるというのは分かるが、適切な指標がない。今回の結果などを踏まえて、JPCZの新しい指標のようなものが今後、開発し数値化することができれば、予報などの形で社会に還元することができるのではないかと思っている」と話した。