中小企業に迫られる環境配慮 第5回「トラットリア・オラ・ハラクチェ」の太陽光発電導入のきっかけと効果
前回は、環境配慮の取り組みのひとつとして太陽光発電を取り入れたマルタスギヨ株式会社(新潟市北区)にインタビューし、経費削減の効果などを語ってもらった。
第五回では、太陽光発電を取り入れた飲食店、「トラットリア・オラ・ハラクチェ」に太陽光発電を導入した動機や飲食店での効果を有限会社山田(新潟市北区)の山田秀行社長にきいた。
地域循環型レストランに再生可能エネルギーを導入
有限会社山田(新潟市北区)は、新潟県内で地元野菜を使ったおいしいイタリアンが食べられると人気の「ノラ・クチーナ」などを運営している。「ノラ・クチーナ」は、豊栄本店(新潟市北区)や新潟鐙店(新潟市中央区)の2店舗に加え、2021年8月21日には3店舗目となる長岡店をオープンさせた。また、味を均一化するためにセントラルキッチンの立ち上げも行うなど、アフターコロナに備え、近年も様々な攻めの一手を取り入れている。
そんな有限会社山田(新潟市北区)の試みの一つとして、2020年に新発田市月岡にあるノラ・クチーナの姉妹店「トラットリア オラ・ハラクチェ」に、株式会社テクノナガイ(新潟市北区)が携わり、太陽光パネルを設置した。
同店では、地元月岡の野菜直売所から仕入れる新鮮な野菜や果物を使った薪窯で焼くナポリピッツァや焼きたてのパン、手作りスイーツが人気を誇る。ただ、地産地消の取り組みは地元の野菜や果物だけではない。薪窯で使う薪にも、新発田市の森林組合の間伐材を利用するなど、地元循環を意識した取り組みを行っている。
ハラクチェに太陽光パネルを設置したのも、「再生可能エネルギーを使ってみたい」と思ったことがきっかけだと山田社長は話してくれた。
「自然環境の中で商売しているのもあり、地域循環型の取り組みをしている中で、太陽光エネルギーの利用も取り入れていきたいと考えました。ランチの営業が中心で、太陽光導入の条件に一番に合ったのがハラクチェだったんです。ハラクチェは丘の上で標高も高く、日当たりがいい場所にあります」(山田社長)。
飲食店での太陽光発電による電気代削減の効果
コロナ禍において飲食店は売上げを伸ばすことが難しい状況にある。利益を増やすためにも、固定費と変動費の圧縮が不可欠だ。それはハラクチェでも同じで、店舗経営的に光熱費を下げたいという目的もあった。山田社長は効果についてこう体感している。
「ランチがメインのハラクチェでは昼間に電気を多く使う分、効果を感じました。太陽光を使った節電効果は想像以上ですね」と、年間の電気料金比較表を見ながら話してくれた。
新潟市内に比べると冬場は雪も多い月岡での太陽光パネルの設置だったが、年間を通してみると削減された数値がしっかりと出てくる。冬場の電気代の下げ幅は減るものの、繁忙期となる初夏や夏の電気代削減の幅が大きく、年間の固定費が下がるのが見て取れた。飲食店では、大型冷蔵庫など電気代のかかる設備を抱えている分、固定費となる電気料金の削減は、利益底上げのひとつになりうる。
「設置したのが2020年のコロナ禍なので、お客様が少なくなった部分もありますが、電気代の数値としては年間2割程度、30万円程下がりました。初初期投資はかかるものの、導入前の電気代と比べると下がり幅が大きいことを実感できるし、当初の試算より早く初期投資を回収できそうです。もっと早く導入すればよかったですね」(山田社長)
コロナ禍では、飲食業に限らず、現状をどう耐えていくかが試される業界は多い。営業利益を以前ほど上げるのが難しい今、新しい挑戦はもちろん、具体的な固定費の見直しなど現状の経営をより健全にしていくための取り組みを各企業が模索している。再生エネルギーを利用する企業や一般家庭もだんだんと増える中、新潟でも太陽光発電のニーズが今後より注目されるだろう。
【株式会社テクノナガイ】
TEL 025-387-3117
HP https://www.technonagai.co.jp/
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本記事は株式会社テクノナガイの提供によるものです