糸魚川総合病院(新潟県糸魚川市)の勝木将人脳神経外科医長に聞く「片頭痛を軽視せず、受診を」
糸魚川総合病院脳神経外科(新潟県糸魚川市)は、糸魚川市健康増進課(同)と共同で、日本初となる痛み止めの使いすぎによる頭痛に関するアンケート調査を実施した。アンケートは、2021年8月から10月の期間で、15歳から64歳までの2万4,58人を対象に行った。うち、30%の5,865人から有効回答があった。
吐き気やだるさがある片頭痛を持つ人は、日本全体で8.4%がいることが分かっている。この片頭痛の人は、学校に通えなくなり、不登校になったり、会社を休んだりする人がいる。
しかし、むしろ重要なのは、会社を休むことよりも、仕事のパフォーマンスが落ちて、いい文章を書けなくなったり、車の運転に集中できなくなったり、受験に失敗するといったことが大きいという。その支障はある調査では、片頭痛を持つ人1人当たり年間170万円の経済損失だと言われている。トータルすると、経済損失は日本全体で年間約2兆円にもなると言われている。
糸魚川総合病院の勝木将人脳神経外科医長は「日本の経済をよくするために、頭痛を何とかしなればならない」と話す。
片頭痛の人は、痛みを抑えるために市販の頭痛薬を飲むのだが、だんだんエスカレートすると、不安だからと言って、痛くないのに痛み止めの頭痛薬を飲むようになるという。月10回以上、痛み止めを飲んでいると痛みのセンサーがおかしくなり、薬物乱用頭痛になってしまう。
今回のアンケート調査で、薬物乱用頭痛の割合が分かった。調査によると、全体の2.3%で43人に1人の割合。およそ学校の1クラスに1人ほどとなる。
片頭痛の治療法としては薬物療法となり、月に2回以上痛くなるか、または月に3日以上仕事に支障がある場合は、毎日飲む予防薬がある。血圧を下げる薬や抗てんかん薬のほか、注射の特効薬もある。
勝木脳神経外科医長は「月に2回以上痛くなる人は、頭痛の治療をしている病院に行ってほしい。経済が回るようにしていきたい。予防薬を毎日飲めば頭痛はそもそも起きなくなる」と話す。
さらに、「片頭痛は日本の約1,000万人が困っている。中には、片頭痛のせいで仕事を辞めた後に病院に受診に来る人も多いが、それでは遅い。受診は3割というデータがある。頭痛を軽視せず、会社や周りの人も受診を進めてほしい」と話していた。