本格イタリアンやスパイス料理のイジルシ・インシエーメ(新潟市)が人気メニュー「キーマカリー」をレトルト商品に

人気メニュー「キーマカリー」のレトルト商品

本格イタリアンやスパイス料理を提供するイジルシ・インシエーメ(新潟市中央区)の人気メニュー「キーマカリー」などが先月19日、レトルト商品として販売された。レトルト食品や冷凍食品では、人気フードの味を再現したことを売りにした商品が数多くあるが、実際、人気の味をそっくり再現すること難しく、食べた時に味の違いを感じることが多い。だが、このレトルトカレーは温かいうち(風味が落ちないうちに)にレトルト化していることに加え、レトルト化することを前提に調理方法を工夫していて、「店の味を限りなく再現している」(代表取締役・オーナーシェフの伊藤健之氏)という。こうしたこともあり、販売からまだ1ヶ月足らずだが、すでに400食ほど販売している(4月上旬時点)。

レトルト商品として販売を始めたのは、キーマカリー、ミートソース

 

添加物もほとんど使わず

レトルト商品として販売を始めたのは、キーマカリーのほかに、ミートソース。イジルシから車で数分のところにある、麺類メーカーの三旺食品(新潟市中央区)でレトルト化している。

具体的には、イジルシ店内で作った出来立てのキーマカリーやミートソースを三旺食品へと運び、風味が落ちないように工夫しながら、同社が昨年6月に導入した装置(レトルト装置)でレトルト化している。「レトルト化する際は、具材が均等になるよう注意をしています」(三旺食品の大島信二専務取締役)。また、記事の冒頭で紹介した通り、調理方法も工夫。たとえば、「(再加熱することを前提に)豆を、カレーと一緒に煮込まずに固めに調理することで煮崩れしないようにしている」(伊藤氏)のだ。こうして、店内とほぼ同じ味をレトルトで再現した。

「数年前に、レトルトカレーを作りたいと思ったことがあったが、最低ロット数が2,000個だったことに加え、店の味がどうしても再現できなかったことから諦めたことがあります。こうした中、店内の味に限りなく近いものを小ロット(約40個/回〜)からできて、ありがたい」と伊藤氏は感想を述べていた。

なおカレーには、新潟和牛、新潟地鶏、新潟ブランド豚、野菜、複数の香辛料を自家調合したオリジナルスパイスを使っていて、「スパイシーという言葉がぴったりと当てはまる逸品で、健康的で美味しい」(大島氏)と話す。なおレトルト食品というと添加物を使っているイメージを抱く人も少なからずいるが、この商品には、添加物の部類に入るクエン酸をホールトマトに使っている以外は一切添加物を使っていない。「これだけ添加物を使わずレトルトを製品化するのは非常に難しい」(伊藤氏)という。

価格はどちらも1個入りが748円(税込)、2個入りが1,400円(税込)で、イジルシの店内で販売している。その他、メッツ薬局の一部店舗でも販売している。

イジルシ代表取締役・オーナーシェフの伊藤健之氏(右)と三旺食品の大島信二専務取締役

なお今後、量産化するかどうかは市場ニーズを見極めて判断することになるが、仮に量産化に踏み切った場合には、三旺食品の直売会、店舗への卸など幅広く販売ルートを開拓していく方針だ。

一方、このレトルト商品は、実はもう少し後に商品化する予定だったという。「装置は賞味期限について、殺菌度合いの数値によりある程度の把握できるが、実際の賞味期限の設定は食品のなかの菌数が時間とともにどう変化するのかを検証する方法をとっている。昨年11月に保存試験を始め、当初、6ヶ月~1年の検証を経て、賞味期限6ヶ月~1年の商品を販売する予定だったが、新型コロナの影響で、テイクアウトのニーズが高まったことから、(検証を終えた)賞味期限3ヶ月という形で前倒しして商品化に踏み切りました」(大島氏)。今後は試験が1年間に達するまで検証を行い、賞味期限を1年程度に延ばしたい考えだ。

レトルトカレーを皿に盛り付ける伊藤氏

 

様々な店内メニューをご当地レトルト商品に

三旺食品では、取引先(顧客)が店内で提供するパスタソースなどのメニューをレトルト商品化すること目指し装置を導入した。これまでに、イジルシのキーマカリー、ミートソースの他に、ラーメンの具材(たまご、メンマ、チャーシュー)をレトルト商品にしている。「ラーメンの具材については関東のスーパーで「豪華具材付きラーメンセット」として販売する方向で話が進んでいます」(大島氏)。

今後は、小ロットに対応できるという強みを生かして、(取引先である)新潟の様々な店舗(小さな店舗から大きな店舗まで)のメニューをレトルト商品にし、“ご当地シリーズ化”していきたいという構想もある。県内の人気メニューをレトルト商品化し弊社直配会(月1回開催※現在コロナウイルスの影響で休止中)などで一箇所に集めて販売していくほか、店舗への卸を行うことで取引先店舗の売上拡大をサポートしていきたいという。

また、調理したものの余ってしまった食品をレトルト化すれば、廃棄することなく再活用ができる。この特徴を生かし、取引先店舗の廃棄ロス削減にもつなげていきたい考えだ(なお三旺食品から離れた場所で調理されたものをレトルト化する際も宅配便などを活用して対応する予定という)。

 

体に良い食品をどんどん提供したい

伊藤氏は新潟市出身で、大学は柏崎市にある新潟産業大学に進学した。大学生の時、有名店であるイタリアンレストラン・アルチゴーラ(柏崎市)のオーナーが経営するショットバーでアルバイトし、学生ながら2年間店長も務めたことがあるという。卒業後、新潟中央銀行に就職したが、入行1年目の年に経営破綻。これを機に、学生時代より悩んでいた『自分のレストランを持ちたい』という夢を叶えるためアルチゴーラで本格的に修行をさせてもらうことになったという。31歳まで働きながら修行を積んで新潟市に戻り、約1年弱、市内の店で働き、2006年に独立した(最初は現在の東区内にオープンした)。

イジルシ店内

なお伊藤氏の名刺には「代表取締役」、「オーナーシェフ」と並んで「新潟スパイス番長」という肩書が記されている。伊藤氏によると、カレー業界では東京スパイス番長という、スパイス料理を研究する有名なユニットがあり、そのメンバーから「新潟スパイス番長と名乗ったらどう?」と提案され、名乗るようになったそうだ。

そんな伊藤氏がオーナーシェフを務めるイジルシでは、このキーマカリー、甘えびの濃厚トマトクリームソースパスタなど、シェフが一押しのメニューでのほかに、様々なイタリアン、スパイス料理のアラカルトが並ぶ。「スパイスは薬膳料理にも使われるもので身体に良い。その上に美味しく料理を召し上がって頂くことができます」(伊藤氏)と話す。

「また最近は何でも手に入る時代になったからこそ、身体に必要のないものまで入るようになってしまった。今こそ私たちは食の安全と身体を想い、選んでいかなくてはならない」と伊藤氏。こうした考えのもと、4月に入り、井上真由美さん監修の「自然調和医療学×癒慈食美学 ラブミールモーニング」(1,200円)の提供を開始した。メニューは以下の写真の通りとなっている。

井上真由美さん監修の「自然調和医療学×癒慈食美学 ラブミールモーニング」

【イジルシ・インシエーメ】
住所/新潟市中央区東大通2—4—34 2F
電話&ファクス/025—255—1464
席数/30席
営業時間/
モーニング 9:00〜11:00
ランチ 11:00~16:00 (L.O.15:00)
ディナー 土曜のみ営業 18:00〜22:00(l.o.21:00)
定休日/火曜日・水曜は不定休
URL/http://www.ijirushi.com/
レトルト注文/https://insieme20195.wixsite.com/lovemeal

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