注目のベンチャー、WELCONが新工場を建設中
水素ステーション用小型熱交換器で国内シェア2位
新潟市秋葉区に本社を置くWELCON(ウェルコン、鈴木裕社長)が、新工場の建設を進めている。今年4月に建設を開始した。場所は本社がある新潟市秋葉区矢代田で、県道41号白根安田線に沿う丘陵地帯の一画。開発面積は約4万4000平方メートルで、当面は工場1棟を建設し、将来は管理棟や開発・試作棟などを含む5棟が並ぶ計画だ。
WELCONは、「拡散接合技術」に特化したベンチャー企業。この技術は〈金属の板を密着させ、高温に加熱、加圧することで、原子の拡散を利用して原子レベルで接合する方法〉とされる。加熱・加圧することで接合面の金属原子が混ざり合い、接合面が判別できないほどに一体化する。この先端技術を活用することで、微細サイズのオリジナル部品が製造可能になるという。
設立は平成18(2006)年で、TV向けブラウン管装置を製造していたメーカーの技術開発部門がスピンアウトして設立された。8年前に日本塑性加工学会より「三井精密技術賞」を受賞したほか、日本機械学会の「優秀製品賞」や、中小企業研究センターのグッドカンパニー大賞「新技術事業化推進賞」などの受賞歴がある。
WELCONが神戸製鋼に次いで国内シェア2位(30%)を占める分野がある。水素ステーション用の小型熱交換器だ。普及が期待される燃料電池車(FCV)にとって、水素ステーションはガソリンスタンドのようなもの。電気自動車やハイブリッド車と違い、FCVは水素を燃料電池に与えることで自ら発電してエンジンを動かす。
水素ステーションでFCVに水素を急速充填すると、温度が急上昇する。そのため熱交換器で冷却して安全を確保する必要がある。その際に用いられるのが拡散接合技術を使った小型熱交換器だ。効率的に冷却するには水素が通る部分の表面積を大きくする必要がある。それには小さな穴がたくさんある形状が有効だ。薄い金属板を重ね合わせる拡散接合により、多数の微細な穴を設けた小型熱交換器の開発が可能になったという。
WELCONでは、こうした拡散接合技術を使った製品の企画・開発や設計、そして量産まで対応する。同社の売上高は4年前が約3億2500万円、昨年6月期が9億7400万円と急成長を遂げている。