新型コロナの影響、月岡温泉(新発田市)で旅館や飲食店などの臨時休業が相次ぐ
新型コロナウイルス感染症の拡大により、政府が16日に緊急事態宣言を全国に拡大したことを受け、新潟県内でも屈指の人気を誇る月岡温泉(新発田市)の旅館や飲食店などの臨時休業が相次いでいる。
また、平日でも、宿泊客や地元客らで賑わいを見せる温泉街のメインストリートを行き交う人の姿も、ほとんど見られない状況だ。
取材に応じた月岡温泉旅館協同組合の齋藤泰弘理事長によれば、同組合は21日の午前、組合関係者が集まって会議を開催したという。この会議では、組合に加盟している旅館で準備が整ったところから順次、政府の緊急事態宣言の終了期間であるゴールデンウィーク明けの5月6日まで、臨時休業に入ることを決定したという。月岡温泉の旅館は戦時中でも営業しており、一斉に臨時休業となる事態は、大正4年に月岡温泉が開湯して以来初の出来事となる。
齋藤理事長は「ゴールデンウィーク以降も旅館を休業し続けていてはもう持たない。県内の皆さまが安全に過ごせるように、できる限りの対策を施し、いくらかずつでも稼働させるようにしたい」と、月岡温泉の宿泊業界が置かれる苦境を話した。月岡温泉旅館協同組合が把握しているところでは、加盟旅館の売り上げは平均して、2月末時点で約1割減だが、3月にはこれが約6~7割減となり、4月に至っては約9割減にまで落ち込み、5月は予約客がゼロといった状況だという。
実際、華鳳(同社HPによれば、20日から5月14日まで休業)などを始めとするいくつかの旅館では21日の時点で休業の看板が出ていた。月岡温泉ではこれまで、首都圏の顧客をメインターゲットとしてきたが、新型コロナウイルス感染拡大防止のためには、感染が拡大する地域との往来は制限せざるを得ない。このため、旅館としては、地元の利用者をはじめとする県民向けの、最大限の対策を講じた上での安全な宿泊などの利用方法を模索しているという。
一方、旅館の一斉休業は、月岡温泉の飲食店や土産物店などの営業にも影響を及ぼしている。月岡温泉のホテル・旅館9社が出資し9人の若手経営者で2014年に立ち上げた合同会社ミライズ(新発田市)が出店している6店舗は全て休業となっているほか、メインストリートの飲食店でも新型コロナウイルス感染症の影響を受けた臨時休業の張り紙が目についた。地元の老舗和菓子店関係者は現状について、「売り上げは例年と比較して半減している。常連のお客様が足を運んでくださるので何とか持っているが、旅館が臨時休業する以上、何日かは閉めることになりそうだ」と話した。