新潟県妙高市の制服専門店このみが中国市場への本格進出を視野に
制服専門店として全国的な人気を誇る株式会社このみ(妙高市)は今後海外展開を強化する一方、中学生向けの標準服市場に参入する。海外展開は新型コロナウイルスの影響で一旦休止しているが、一昨年に中国現地法人を設立。新型コロナが落ち着き次第、中国への本格進出を視野に入れている。
同社は制服自由校でテレビドラマに出てくるようなかわいい、かっこいい制服を着たいというニーズに対応して東京や大阪などで認知度を高めた。2008年に東京・原宿店を竹下通りにオープンしたが、例えば東京では都立高校の成績上位校や私立の有名大付属校などが制服自由校であり、これらの比較的高所得の家庭の生徒に同社の上品できちんとした印象のデザインが受け入れられた。ギャル系のルーズソックスが流行していた頃に本当は清楚な格好をしたいと思っていた層に同社は紺のハイソックスを提案したことが奏功し、一気に制服自由校に同社の制服が浸透した。
学園ドラマや学園映画、AKB48などの人気アイドルグループへの衣装協力や同社主催の全国の制服コンテストなどで情報発信をしてきた効果もあるが、相浦孝行社長は「特に女子は学校のファッションリーダーが着ていることで、口コミで広まっていったと思っている」と分析する。
同社はデザインが生命線と言えるが、妙高市と東京・原宿にいるデザイナーは中途採用が中心で自ら店頭に立って生徒たちのニーズをとらえ、デザイン企画に反映している。「ユニクロ」などいわゆる現在アパレル企業で主力の製造から小売りまでを手掛けるSPA(製造小売り)業態である。
現在、国内では本社のある新潟県妙高市や上越市のほか、東京、大阪など6店舗。海外は2017年に香港店がオープンしている。2018年に中国・上海に現地法人を設立、インターネットで販売したところ、日本のネット販売の売り上げを1年で追い抜いたほどの人気があったという。相浦社長よると、海外では女子には日本の制服はファッションとして捉えられており、学校に着ていくのではなく週末の休日に着るのだという。中国市場での拡大が見込めることから、新型コロナが落ち着き次第、上海や重慶に店舗を開設する方針。
また、中学生を対象とした詰襟学生服やセーラー服などの標準服市場にメーカーとして参入、糸からデザインするという自社企画という強みを生かし、他社よりも安価な価格設定で販売する。貧困世帯といわれる世帯が増えていることから、入学支援金などがあったり、制服を買えない生徒がいたりするという現実があり、それに対応した形で販売体制を整える。