インディペンデンツクラブと新大伊藤龍史研究室が起業家イベントを開催
特定非営利活動法人インディペンデンツクラブ(東京都)と、アントレプレナー志向の学生が集まってくる新潟大学経済学部伊藤龍史研究室は8日、新潟市内で、起業家などが事業計画をプレゼンテーションする「新潟インディペンデンツクラブ」を開催した。後援は、日本ベンチャー学会、日本ニュービジネス協議会連合会、新エネルギー・産業技術総合研究所(NEDO)。
日本酒が苦手な女子大生が商品化した「日本酒ギフト」
プレゼンには、まず伊藤研究室の3チームが登壇。
経済学部4年の松本佳一郎氏は、“スマホの囚人化(スマホ中毒)”から人々を開放するための「村を貸し切った民泊ビジネス」構想を発表した。村を貸し切り、昭和30年代の雰囲気を再現したエリアでは、何をしてもよいし、暇つぶしのコンテンツも用意されているが、電子機器だけは持ち込めない。人々をスマホ囚人化から解放することで、スマホの弊害(健康障害など)を取り除いてもらうことができるほか、村の活性化にもつながるという。
経済学部4年の植松美香子氏など3名で構成する「にゅーふぇいす」は、日本酒に対して苦手意識のある人向けの「日本酒ギフト」の開発ストーリーを説明した。じっさいに飲んだ日本酒の中から、飲みやすい日本酒3種類を選定し、日本酒がよりおいしくなったという「つまみ」(ホワイトチョコレート、ドライフルーツ、チーズクッキー)と組み合わせたギフト。ギフトにしたのは、(自らはなかなか買わないと思われる)日本酒に苦手意識を持った人に対し、贈ってほしいとう願いを込めたとか。また日本酒の量も飲みやすさを考慮し100mlと少量にした。
なお商品化に際してクラウドファンディングで目標額以上の105万円(200人)を集めたほか、製造では苗場酒造の協力を取り付けた。今後の課題として価格と販路を挙げていた。
株式会社プライミ創業者で、経済学部4年の中井智貴氏は、人々の評価が偏差値に代表されるように画一化されている中にあって、「達成感」「やりがい」「自己肯定感」を感じにくい世相に着目。達成経験などを味わえる1泊2日のキャンプ「DEKITAきゃんぷ」を企画・運営している。「ドミノ30000個プロジェクト」「100mピタゴラスイッチ大作戦」「100人入れる巨大バルーン作成」などだ。
ドミノは倒れてしまったが、ある子どもから自発的に「次は24時間ドッジボールをやりたい」という意見が飛び出たそうだ。
将来は全国で塾展開を計画。進学塾同士の掛け持ちはないが、この塾であれば、ウィークデーは学習塾に通い、週末はDEKITAきゃんぷで前向きな思考を身に着けていくという「塾の掛け持ち」ができると見ているようだ。
農業生産法人初の株式上場は?
続いて、起業家2名が登壇し、事業計画を発表した。
有機栽培米のほか、餅、おはぎ、スイーツなど加工食品の製造などを手がける株式会社ごはん(津南町)は、新潟ベンチャー・キャピタルからも出資を受け入れており、農業生産法人初となる株式上場も視野に入れている企業。抑草機を自社開発したほか、台湾子会社が現地の日系百貨店で、日本フェアを頻繁に開催するなどで、注目を集めている。
代表取締役の大島知美氏は、今後の海外展開などについて説明した。具体的には、新潟県が今年7月にパリに出店する物産館に、グルテンフリーのパン、クッキーなど数アイテムを出品する。また、香港アリババと米の販売で提携することが決まったほか、2020年に住友不動産が羽田空港に開設するホテル商業複合開発プロジェクトに直営店を出店することも検討している。さらには、リッツカールトンの総料理長とパートナー契約を結び、海外向け商品の開発力を強化。将来は中国、欧州、米国などへの輸出を強化していくようだ。
売上高は現在2億円強だが、2023年に9億7800万円に高める計画。なお同社は、2014年にインディペンデンツクラブの全国グランプリなどを受賞している。
グーグルストリートビュー(室内用)や動画広告の制作、VR(バーチャルリアリティー)を使った広告などを手がける株式会社リプロネクスト(新潟市)代表取締役の藤田献児氏は昨年の創業後の取り組みを説明したのち、バスケットボールの試合でVRを導入する計画や、企業チャンネルの制作事業を本格化していく計画を語っていた。
このほか、最後に、ゆるりアドバザリーサービス合同会社(新発田市)代表社員の古沢保昭氏が登壇し、スピーチした。
インディペンデンツクラブは、全国の個性あふれる起業家を発掘し、一人でも多くの人と一緒に、1社でも多くの公開会社を育てることを理念に掲げて活動している。大学との共催では、新潟大学の伊藤研究室で今回を含め3回共催したほか、東北大学EDGE-NEXTプログラム、九州大学起業部などと共催してきている。また、新潟ではこれまでに、伊藤研究室との共催を含めてこれまでに8回開催し、株式会社和僑商店、エンゼル・ひまわりグループ、株式会社MGNETなど14社がプレゼンを行っている。
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