新潟県上越市の越後薬草が高濃度アルコールに着手、売上げを上越市に一部寄付へ
新型コロナウイルス感染拡大で消毒用アルコールがひっ迫している状況を受け、株式会社越後薬草(上越市)はアルコール度数70度の高濃度アルコールの製造・販売に乗り出す。28日から同社「YASO」特設サイトのみで販売を開始する。厚生労働省が10日、高濃度エタノール製品の入手先として酒税法に規定する酒類製造者や販売者を追加すると通知したことに伴うもの。同社は社会貢献事業として展開する方針で安価で販売するほか、上越市にも寄付する予定で、売り上げは同市に一部寄付する考え。
同社は1976年の創業以来、上越地方が全国有数の産地ヨモギを研究し、天然ヨモギを原料とした食品や飲料を製造している。その酵素を作る段階でアルコールを発酵するが、従来はアルコールを蒸発させていた。しかし、それを有効活用しようと、2020年1月に酒類製造免許を取得、2月にスピリッツなどの販売を開始した。
今回発売する「ヤソアルコール70」は3週間前から開発を開始。従来商品の「80SPIRITS(ヤソスピリッツ)のアルコール度数を70%まで上げ、消毒用アルコールの代替として使用が可能となった。アルコール度数が70度となると、着火点となり火が付くレベルとなるため、消防法のからみで認可が難しかった。しかし、厚労省が先日特例で認可したことにより、一気に酒類メーカーも販売に乗り出した。同社の塚田和志社長によると、新潟県内でスピリッツの免許を持っている会社が少ないことから、社会貢献をしたいという思いもあり、今回の販売に踏み切った。
価格は消毒用のアルコールで500ミリリットル3,000円が相場のところ、同社は酒税がかかるにも関わらず、社会貢献価格ということで、500ミリリットル1,000円(税抜き)と非常に安価に抑えた。同社では、電話、ファックス、メールの受付はせず、直接同社に買いに来ても対応できないという。販売は、同社の「YASO」特設サイトのみとなる。塚田社長は「暗黙の消毒剤として販売する。社会貢献をすることができて幸せに思っている」と話している。