新潟県内でオンラインの憲法イベントなどが開催される
3日は憲法記念日。例年であれば、新潟県内でも改憲派、護憲派とも全国各地で様々なイベントやフォーラムを行なっているが、今年は新型コロナの感染拡大防止のため、オンライン中継などで主張を訴える形となった。
日本会議新潟県本部は、日本会議が開催した憲法フォーラム「憲法は国民の命と生活を守れるのか!―新型肺炎と中東危機」をYoutubeなどで配信した。
主催者を代表して冒頭挨拶に立った西修氏(駒澤大学名誉教授)は「中国湖北省武漢市で発生し全世界に爆発的に感染が拡大し我が国では緊急事態宣言が発生されている最中での異常な状況下で開催されることになった。今年のテーマは『法は国民の命と生活を守れるのか!―新型肺炎と中東危機』。これらの問題は現在の状況下おいて憲法との関係で極めて重要な問題である。これをいかに考えていくかが本日のメインテーマである」と語っていた。
続いて、安倍晋三自民党総裁(内閣総理大臣)のビデオメッセージが流された。その中で安倍総裁は、感染して亡くなった人への哀悼の意、闘病中の人への一刻も早い回復祈念、最前線で新型コロナ感染と闘っている医療関係者への感謝を述べた。その後、「国内におけるまん延防止のため緊急事態宣言を発出してから間もなく1か月。この間、国民の皆様には人と人の接触機会を8割削減する目標の実現に向け、ご協力いただいていることに感謝申し上げる」と語っていた。
本題である憲法については、「憲法改正の実現に向けて、それぞれの立場で精力的に活動されている皆様に心から敬意を評したいと思う。自民党は立党以来、憲法改正を党是としてきた。いうまでもなく、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の基本理念が今後も決して揺らぐことはない。その一方で、現行憲法も制定から70年余りが経過し時代にそぐわない部分、不足している部分については改正していくべきではないかと考えている。例えば今般の新型コロナウイルスという未知の敵との闘いにおいて我々は前例のない事態に繰り返し直面している。政府においては国民の命と健康を守るため、全国に緊急事態宣言を発出し、政策を総動員して各種対策を進めている。ウイルスの感染拡大防止に向けて国民の皆様には外出の自粛や休業要請への対応など多大なるご協力をお願いしている。また国家の機能維持という点でみれば、国会審議のあり方についても与野党で協議し様々な工夫がなされてきたところ。しかしながら、そもそも現行憲法においては、緊急時に対応する規定は参議院の緊急集会しか存在していないのが実情。今回のような未曾有の危機を経験した今、緊急事態において国民の命や安全をなんとしても守るため、国家や国民がどのような役割を果たし、国難を乗り越えていくべきか、そのことを憲法にどのように位置付けるかについては極めて重く大切な課題であると私自身改めて認識した。自民党が叩き台としてすでにお示ししている改憲4項目の中にも、緊急事態対応は含まれているが、まずは国会の憲法審査会の場で、じっくりと議論を進めていくべきであると考える」と語った。
その後、憲法第9条について触れ、「今回の新型コロナウイルスの対応では、延べ1万7,000人を超える自衛隊員が対応にあたり、この瞬間も各地の自衛隊病医院等で感染症患者の救護あたるとともに、空港での検疫、自治対職員等への感染予防のための教育支援を行っている。そして一連の対応を通じて、従事した隊員からは今まで一人も陽性者を出していない。ことにのぞんでは、危険を顧みず、身を以て責務の完遂につとめる。私は自衛隊の最高指揮官として、彼らのプロフェッショナルリズムに常に胸を打たれている。本年1月からは中東海域における情報収集活動も始まった。中東海域は年間数千隻の日本関係船舶が航行し、我が国が消費する原油の約9割が通過する国民の生活を支える大動脈、命綱。2月には私は護衛艦たかなみに乗艦し、中東の地に向かう隊員達を直接激励する機会を得た。使命感に燃え、整然と乗り込む隊員の姿を目の当たりにし、大変誇らしく思った。他方で極めて残念だったことは、隊員のご家族が見守る一角に、憲法違反とのプラカードが掲げたれていた。隊員の子供たちがもしかしたらそれを目にしたかもしれない。そう思うと言葉もない。創設以来、何十年にもわたり続く、自衛隊は違憲というおかしな議論に終止符を打つためにも自衛隊の存在を憲法上明確に位置付けることが必要。全国25万の諸官が強い誇りを持って、任務を全うできるよう憲法にしっかりと私たちの自衛隊を明記しようでありませんか」と訴えていた。
このほか、「3年前のこの憲法フォーラムでもビデオメッセージにおいて、私は2020年を新しい憲法が施行される年にしたいと申し上げたが、残念ながら未だその実現には至っていない。他方、その間、先の参議院選挙において我々自民党は国民の皆様から、憲法改正の議論を前に進めよという力強い支持をいただき、また各種の世論調査においても、議論を行うべきとの回答が多数を占めてきている。憲法改正への挑戦は決して容易い道ではないが、必ずや、皆様とともに成し遂げていく、その決意に揺らぎは全くない。憲法改正の主役は国民の皆様。どの項目をどのように改正するのか、あるいはしないのか、国民投票によって国民の皆様が決める。ですから多くの国民の皆様が憲法改正について、自らの問題について大いに議論し、理解を深めていただきたい。本日のフォーラムが大きな役割を果たすことを期待している」と語っていた。
また、カリフォルニア州弁護士のケント・ギルバート氏などが出演し提言を行ったほか、ジャーナリストで主催者でもある櫻井よしこ氏、金沢工業大学虎ノ門大学院教授で元海上自衛隊海将の伊藤俊幸氏などがビデオ出演にて提言を行った。
新潟平和運動センターもオンラインで護憲を訴える
一方、新潟平和運動センターは、例年、5・3憲法記念日の街宣を行っているが、今年は新型コロナウイルスによる緊急事態宣言を受けて、中止となった。かわりに安倍9条改憲NO!全国市民アクション@新潟、ナインにいがたのツイッターアカウントを使用してインターネット中継を行った。
冒頭、憲法を守る新潟県共同センターの佐藤一弥代表が登壇し、「国民の声の多数は憲法を変えるな、9条を守れというものだ。国会での議論は急ぐ必要はないとの声が多い。73回目の憲法記念日は改めて憲法の価値を確認し、コロナに乗じた改憲を絶対に許さないという声を上げていく」と語った。また新潟県9条の会事務局長の工藤和雄弁護士は「1947年の今日、憲法が施行された。おりしも新型コロナウイルスの影響により、私たちは経験したことのない大混乱のなかに投げ込まれている。この機会に憲法を読み直してもらいたい。憲法はスマホで見ることができる。声に出して読んでみると新しい発見があると思う。グローバルな時代、世界は依存関係にあり、地球という船は同じ運命にある。日本の平和憲法はグローバル時代の羅針盤になる資格は十分にある。コロナ便乗改憲は許されない」と語った。
最後に、新潟県平和運動センターの齋藤悦男議長が「私たちの生活と権利は平和があって初めて保障されるものだ。安倍政権が進める憲法改正を許さない国民世論を作り上げたい」と締めくくっていた。
また途中で、社民党の青木まなぶ新潟市議、小林義昭新社会党県本部委員長が挨拶したほか、西村智奈美衆議院議員、梅谷守国民民主党新潟県連代表、藤野保史衆議院議員、森ゆうこ参議院議員、中山均新潟市議からのメッセージが紹介されていた。