株式会社コロナ(三条市)が2020年3月期連結決算を発表
暖房機器、空調・家電機器などのメーカー、株式会社コロナ(三条市)は8日、2020年3月期決算(連結)を発表した。売上高は787億1,100万円(対前年比5.4%減)、営業利益5億1700万円(同68.4%減)、経常利益7億9,200万円(同58.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益3億8,500(同69.1%)だった。
決算資料によると、連結会計年度における日本経済は、住宅関連機器業界において、新設住宅着工戸数は政府の住宅取得支援策や日本銀行のマイナス金利政策による住宅ローン金利の低下などの後押しがあったものの、前期を下回って推移した。このような状況下、同社グループは、今年度より第8次中期経営計画を策定し、「コロナブランドの拡大と進化」を推進キーワードに、「既存販売チャネルでの事業領域拡大」「空調メーカーとしてのポジション構築」「持続的成長のための機能・基盤強化」に基づいた事業戦略・機能戦略の取り組みを開始した(なお8日に第8次中期経営計画の修正も発表している)。
このうち事業戦略では、既存の販売チャネルを最大限に活用するための商品カテゴリー拡大や、ラインアップ拡充、提供価値拡大に向けた商品開発や協業などに取り組んだ。また、ルームエアコンをはじめとした空調・家電機器の開発や生産、販売活動強化に向けて、組織横断的に取り組みを進めた。
機能戦略では、顧客接点の強化、管理間接業務の生産性向上、物流配送機能の最適化を進めるとともに、これらの活動を支える組織や人財育成に取り組んだ。また、ブランドスローガン「つぎの快適をつくろう。CORONA」を新たに制定するなど、ブランディングの推進にも取り組んだ。
これらの取り組みなどの結果、製品の種類別売上高の概況は、以下のとおりとなった。
【暖房機器】
売上高は、236億6,300万円(前期比13.8%減)となった。
新製品である自然対流形電気暖房機「NOILHEAT(ノイルヒート)=写真」を投入したほか、石油ファンヒーターなどの販売活動を進めた。しかし、全国的な暖冬・少雪の異常気象に加えて、消費増税後の買い控えが影響し、暖房機器全体は前期を下回った。
【空調・家電機器】
売上高は、180億6,000万円(前期比9.8%減)となった。
ルームエアコンは付加価値機種の販売に注力したほか、ウインドタイプが前期を上回った。だが、天候不順などから販売が低調に推移し、空調・家電機器全体では前期を下回った。
【住宅設備機器】
売上高は、304億5,200万円(前期比5.5%増)となった。
主力商品であるエコキュートは、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及や買い替え需要が拡大するなか、太陽光発電の余剰電力を積極的に活用する機能や業界トップクラスの省エネ性能などを訴求した販売活動を進めた結果、前期を上回った。また、温水暖房システムが好調に推移したこともあり、住宅設備機器全体は前期を上回った。
利益面については、原価低減活動や全社的な経費削減に取り組んだが、暖房機器やルームエアコンの販売減少などが影響し、営業利益は5億1,700万円(前期比68.4%減)、経常利益は7億9,200万円(同58.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益3億8,500万円 (前期比69.1%減)となった。
なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大による同グループへの影響については、訪問営業自粛や展示商談会等のイベントの中止または延期など、販売活動に一部制限が見られたものの、当連結会計年度の業績への影響は軽微だった。
一方、2021年3月期の連結業績予想についは、売上高は821億円(前期比4.3%増)、営業利益は6億円(同15.8%増)、経常利益は9億円(同13.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は5億円(同29.6%増)を見込んでいる。 なお、新型コロナウイルス感染症の拡大が与える影響については、収束までの期間や今後の事業環境に与える影響などが不透明な状況であり、織りこんでいない。
なお、製品の種類別の今後の取り組みと見通しについては、以下の通り。
【暖房機器】
主力商品である石油ファンヒーターの2019年度の市場規模は、全国的な暖冬・少雪の影響もあり、約160万台と前年度を下回った。2020年度の市場規模は、約180万台と予測している。このようななか、石油暖房機器と電気暖房機器の商品開発および販売拡大に取り組んでいく。
【空調・家電機器】
主力商品であるルームエアコンの2019年度の市場規模は、天候不順の影響もあり、前年度を下回った。除湿機の2019年度の市場規模は、前年並みで推移した。2020年度のルームエアコンと除湿機の市場は、堅調な需要のもとで推移すると予想している。このようななか、ルームエアコンにおいては、市場における同社のポジションを高めるべく、付加価値商品の開発や柔軟な生産・供給対応、特色ある商品の販売活動に取り組んでいく。除湿機では、商品開発や販売拡大を目指して取り組んでいく。
【住宅設備機器】
主力商品でてあるエコキュート(=写真)の2019年度の市場規模は、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及拡大や買い替え需要の高まりもあり、前年度を上回った。2020年度の市場は順調に推移すると予想している。また、石油給湯機の市場についても、堅調な需要のもと推移すると予想している。このようななか、エコキュートにおいては、無線LAN対応インターホンリモコンを新たにラインアップするなど、 IoT技術を活用した商品・サービスの強化に取り組んでいく。また、石油給湯機は高効率、高付加価値機種の拡販に取り組んでいくて。アクアエア事業では、多機能加湿装置「ナノフィール」などの拡販に取り組むほか、営業ルート拡大に向けて活動を進めていく。