おぢやマスクプロジェクトがマスク1万8,400枚を寄贈
今年4月下旬から、これまでにサージカルマスク120万枚を県内の医療機関や福祉施設、事業所などに利益上乗せなしで販売してきた「おぢやマスクプロジェクト」の中心メンバーである宮崎悦男県議会議員と、小千谷青年会議所の風間尚樹理事長などは13日、小千谷市の大塚昇一市長を訪れ、サージカルマスク1万8,400枚を寄贈した。マスクは小千谷市経由で、「帰国者・接触者外来」も設置されている新潟県厚生連小千谷総合病院に寄贈され、最前線で新型コロナウイルスと闘っている病院の職員たちに活用される。
おぢやマスクプロジェクトは今年1月、小千谷市錦鯉漁業協同組合理事長でもある宮崎氏と関係者が中心となり、新型コロナウイルス感染が拡大していた中国に、錦鯉の輸出を手がける三信トレーディング株式会社(東京都、范軍代表取締役社長)経由でマスクを寄贈したことがきっかけ。
中国山東省出身の范氏は今年3月、日本国内で新型コロナ感染が拡大していたことから、「マスク寄贈のお礼がしたい。錦鯉でお世話になっている小千谷市に恩返しがしたい」と、マスクが不足していた日本に、山東省の中国政府認定輸出工場を持つ企業が製造するサージカルマスクを寄贈した。折しも小千谷市内で初めての新型コロナ感染が確認された時期(3月24日)でもあり、宮崎氏は、何とかマスクを確保して感染拡大を防ぎたいとの思いから、「マスクを中国から仕入れることは可能か」と打診した。これを機にプロジェクトが立ち上がった。
プロジェクトを立ち上げるに際し、宮崎氏は(同市の基幹産業である)小千谷鉄工電子協同組合に相談したという。これを受け、組合企業の2社がマスクの購入資金、マスクを保管するための倉庫の提供でそれぞれ協力することになった。范氏の人脈に加え、こうした協力により通常ルートでは難しい120万枚ものマスクをわずかな期間で入手することができたという。
マスクは大人サイズ17.5×9.5cmで、アメリカ食品医薬品局(FDA)の医療機器認証を取得している。第1弾として、三信トレーディングが東京港経由で37万枚を輸入し4月22日に小千谷に到着した。
その後も、第2弾のマスク30万枚、第3弾のマスク53万枚が到着し、県内の医療機関を最優先に、福祉施設、(小千谷商工会議所経由などで)事業所、(小千谷市老人クラブ連合会経由で)市内高齢者などに販売した。また、宮崎県議も理事長をつとめたことのある小千谷青年会議所のメンバー(有志)たちが、小千谷市総合体育館と白山運動公園で計2回、“ドライブスルー方式”で市民向けに販売したという。なお販売価格は、為替リスクや売れ残りなどを考慮し決定したものの、三信トレーディングも、おぢやマスクプロジェクトも利益を上乗せせず、ほぼ仕入れ価格で販売した。
今回寄贈したマスクは、為替リスクや売れ残りを考慮して販売した結果、手元に残った余剰金を使って寄贈したもの。大塚市長は「行政の立場でもマスクを入手するのがなかなか難しい」とし、続けて「(新型コロナ感染の)第2波、第3波も考えられる中で皆様の御厚意を地元の大切な病院である小千谷総合病院にお渡しできることは嬉しい」などと語っていた。
また、小千谷総合病院の髙橋達病院長は、「貴重になっているマスクをいただき、本当にありがたい。新型コロナウイルスの感染拡大に伴って全国に緊急事態宣言が出ているなかで、新潟県厚生連小千谷総合病院は地域の皆様の安心安全を守るために職員一同、精一杯頑張っている。帰国者・接触者外来で検体も採らせていただいている。また長岡の病院でPCR検査が陰性だったが、感染が否定できないという患者さんもいて、うちの病院で診療させていただいている。ただ一生懸命頑張っていても医療資源がないと職員の安全安全を守れない。マスクをたくさんいただいたということに心より感謝申し上げる」などと話していた。