東北電力ネットワーク株式会社が再生可能エネルギーの現状や課題について解説
東北電力ネットワーク株式会社(宮城県仙台市)は15日、新潟支社にて、再生可能エネルギーの出力制御に関する現状や課題などを説明する報道関係者向けの勉強会を開催した。
東北電力ネットワークによると、太陽光や風力といった再生可能エネルギー電源の適地が多い東北6県および新潟県では、2012年の再エネ固定価格買取制度(FIT)策定以後、同社エリアへの再エネの導入は急速に拡大している。カーボンニュートラル実現への動きが進む中、今後も再エネの導入は拡大する方向であるが、その一方で電力の受給バランスの調整が大きな課題となっている。
電気は貯めることができないため、消費量に対して生産量を常に一致させる必要性がある。気候条件に発電量が左右される再エネは、火力発電所など他所で発電出力を調整し、受給バランスが維持されているが、今後再エネによる発電量が増えることで、こうした調整では対応が困難になる可能性があるのだ。
再エネの発電量が増加するのは、気候条件が良く、また雪解けなどによる水力発電量も増加する春・秋であるが、東北電力でも2021年5月4日、再エネ出力がエリア需要の約88%に達した。当時は火力発電の出力抑制に加え、揚水発電による擬似的な蓄電、さらにほかエリアへの送電などによってバランスを維持。再エネの契約数が伸びている2022年には、好天となれば前年以上に出力抑制が必要となる可能性がある。
こうした状況から、東北電力では対応を進めている。例えば、再エネ発電量の予測の制度向上のため、過去実績データや海外気象機関の情報活用、日射予測地点の細分化などを行っている。再エネ自体の発電抑制をする場合、実際の発電量が予測量を大きく下回ると発電事業者への負担も増えるが、これを低減することが狙いだ。加えて、前日に事業者へ抑制の指示を出す従来型ではなく、予測精度の高い当日に必要時間帯のみ抑制可能な「オンライン代理制御」も4月から開始予定だ。
また同社では、大型蓄電池の運用や、再エネ導入に必要な送電容量の増強などへの取り組みも進めているという。