新型コロナ感染症拡大による企業の資金繰りを信用保証で支える新潟県信用保証協会
信用保証協会は、信用保証協会法に基づき、中小企業・小規模事業者の金融円滑化のために設立された公的機関。融資を円滑にするため、企業などが金融機関から融資を受ける際、信用保証をしている。金融機関からすれば、信用保証協会が保証してくれるので、融資を実行しやすくなる。
現在、47都道府県と4市(横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市)にあり、新潟県では、新潟県信用保証協会が新潟市中央区の「古町ルフル」に本店を構えるほか(2020年5月に移動)、長岡、県央、上越、佐渡に支店がある。新型コロナウイルス感染症拡大による景気の悪化で、多くの企業が厳しい資金繰りの状況にあるなか、今こそが新潟県信用保証協会の真価が問われる時であり、融資をできるだけ円滑しようと、総力を挙げて取り組んでいる。
「3月から保証件数、金額は増加しており、当課において4月に入ってからは、(4月15日現在で)昨年比、件数で約180%、保証金額で約200%のペースで推移しています」。こう話すのは新潟県信用保証協会本店営業部保証第二課の川島和紀課長だ。
増加の背景には、新型コロナ関連の融資制度の拡充がある。例えば経済産業省は3月1日、(前年同月比で売上が20%以上減少した)中小企業者への資金繰り支援措置として、「セーフティネット保証4号」の発動を決定(一般保証と別枠の保証が利用可能)。また3月以降、最近3ヶ月間の売上などが前年同期比で5%以上減少した企業が対象の「セーフティネット保証5号」の対象業種の追加指定を2回ほど行っている(こちらも一般保証と別枠の保証が利用可能)。さらに、その後も、「危機関連保証」(大規模な経済危機、災害等による信用収縮への対応)が施行されたほか、「新潟県セーフティネット資金」も融資額などが拡大されている。これに伴い、申込件数が急増しているのだ。
ただ、件数が増えたからといって人員が増強されているわけではなく、ギリギリの体制で対応しているのが実情のようだ。本店は、保証第一課(10人)、保証第二課(9人)という体制で審査を行なっている。「迅速な対応をするため、他部署の職員にも手伝ってもらっている状況」(川島課長)と明かす。
5月には、3年間の実質無利子や保証料ゼロの県制度融資をスタートすることから、しばらくの間は、多忙な状態が続くことは必至と言える(4月下旬現在)。
今後は経営支援にも注力
一方、コロナ対応の融資は、売上減少による資金不足を一時的に埋め合わせることにしかならない。むしろ借入金を増やす結果になってしまうことから、今後、企業は、コロナ収束後に業績をV字回復させることが不可欠と言える。こうしたなか新潟県信用保証協会では、経営支援にも注力して行くという。「平成29年に信用保証協会の正式業務に経営支援が加わりました。新潟県信用保証協会には経営コンサルタントの国家資格である中小企業診断士の資格を持った職員が自分を含め28名います。また、さまざまな経営課題に対応できるよう、高度で専門的な経営支援をしていただける外部専門家の方々と提携も行っています。今は保証関連の業務で手一杯な状況ではありますが、今後も継続的に経営支援にも力を入れていきたい」(同)と話す。
「お客様からの直接のご相談は歓迎です。不安になったらぜひ、お電話でもご来店でも当協会へ直接相談していただきたいと思います」(同)と話す。ちなみに創業に関する相談や経営アドバイスも行なっていて、場合によっては金融機関の紹介なども行うようだ。