新潟県と地元企業が「簡易型PCRブース」を開発
新潟県は22日、各種プラスチックの切削加工品の受託製造やアルミニウム押出材と樹脂板を用いた製品の設計製作などを手がける株式会社F・S・エンジニアリング(長岡市)と共同で開発した「簡易型PCRブース」を公開した。
県が開発を委託。「高齢者が立ち上がりやすいよう手すりをつけてほしい」などといった医療現場(県立新発田病院)の意見を取り入れながら、3週間かけて開発した。PCR検査のための検体採取を行う医療従事者への感染リスクを軽減できるほか、防護服の節約にも繋がるという。また陽圧装置を備えた既存製品などに比べて価格は10分の1程度の13万円/基と安価なほか、短期間での制作・納品が可能。高さ185cm×幅90cm×奥行き75cm。
県では、初回制作した5基を、今後県内各地に設置される地域外来・検査センターなどに無償貸与するほか、メーカー側で全国各地の医療機関向けに販売していく。
ブースの主な特徴としては、厳重な防護服などを着用しなくても、被検査者からの飛沫に接触することなく、検体を採取できることが挙げられる。ブースなどを使用しないがない場合、防護服やサージカルマスクなどを着用し検体採取を行う必要があるが、少人数の検体採取の場合、数人分の検体採取のためだけに不足しがちな防護服などを使用しなければならなかった。こうした防護服やマスクなどの非効率的な使用を避けることもでき、節約につながる。
壁の素材にはアクリル板ではなく、塩化ビニールを使用しており、エタノールなどで消毒しても白濁してしまう恐れもないという。さらに電源もなく、キャスターがついていて、様々な場所に移動して使用できるほか、使用しないときは容易に倉庫などに収納することもできる。
このほか、被検査者が着座して検体採取を行うため、被検査者の身長差に関係なく容易に採取することが可能となっている。
ブースの上部は空いており、主な使用場所として、換気が不要な外部での使用を想定しているが、換気扇のある室内でも使用できる。
一方、県では今年4月にも佐渡市にあるサンアロー化成株式会社と共同で、フェイスシールド(飛沫を防止する医療用防護具)の代替製品を開発している。