新潟県佐渡市の研修医海外留学支援事業、一期生がハーバード公衆衛生大学院に合格
新潟県は23日、新潟県佐渡市と厚生連佐渡総合病院(新潟県佐渡市)が連携して創設した「佐渡市臨床研修医海外留学支援事業」において、一期生となる磯邉綾菜さんがハーバード公衆衛生大学院に合格したことを発表した。
磯邉さんは、3月に京都府立医科大学を卒業した京都府出身の26歳。1月にハーバード大学公衆衛生大学院(アメリカ合衆国)に合格し、さらに今月16日には医師国家試験に合格した。
今後佐渡市臨床研修医海外留学支援事業の制度を活用し、4月から佐渡総合病院で臨床研修を開始するとともに、6月からはハーバード公衆衛生大学院において現地授業やオンライン授業への参加を開始する。ハーバード大学公衆衛生学修士オンラインでは、統計や疫学、医療ビッグデータの扱いのほか、慰労マネジメントなどを学んでいくという。
記者会見では新潟県福祉保健部の松本晴樹部長が磯邉さんの合格に関する報告とともに、今後のスケジュールや制度の趣旨を説明した。
近年、医学生において、臨床能力に加え、様々な課題を解決するスキルを早くから身につけたいと考える医学生が増加していることから、オンラインで海外有名大学の学位が取得できるコースが創設。「県全体で、世界に貢献する人材を育成するため、全国からやる気の能力にあふれた医学生・医師を集め、世界と新潟を行き来する人材を輩出していく」(松本部長)と制度の趣旨を説明した。
また、在学中や卒業後は海外留学で身につけたスキルを活かし、佐渡市をフィールドに地域の課題を解決するための政策提言などを行うなど、地域医療への貢献も期待される。
松本部長はつづけて「創設の一期生で合格者が出たことを、心より喜んでいる。さらに新潟県の初期研修に注目が集まることが期待できる」と話した。
磯邉さんは「ハーバードでの学びを佐渡の医療に活かし還元していけるかを考えながら、頑張っていきたい」と話した。
またオンラインで会見に出席した佐渡市の渡辺竜五市長は、「佐渡の大きな課題である高齢化社会における医療と福祉の連携も含めた中での島での医療体制をどう確立していくかという構想自体にも貢献してほしい」と期待し、「思い切ってどんどん動いて活躍してほしい」とエールを贈った。
同じくオンラインで出席した佐渡総合病院の佐藤賢治院長は「世界にはばたく為の基盤を佐渡で培っていただけると確信しているが、我々も覚悟が必要。日本の未来に向かって、私たちも成長していくので、磯邉さんも是非頑張っていただきたい」と話した。