新潟市民病院が医療事故で和解
新潟市民病院(新潟市)は29日、平成29年に発生した医療事故で和解に至った、と発表した。
患者は市内在住の60歳代女性。平成29年12月に行った左副鼻腔真菌症に対する左内視鏡下副鼻腔手術を施行した際、眼窩内の内直筋断裂を生じ、左眼球運動障害および複視(1つの物が二重に見える状態)が発生し症状が残ってしまった。
手術では、ナビゲーションシステム(術中の器具の位置を術前に撮影したCT画像に表示させるもの)や、内視鏡洗浄装置などの手術支援機器を使用し、慎重に手技を行っていたが、患部からの出血が想定以上に多く、視認性が悪化。そうしたなか、患者への負担を考慮し、手術を長引かせないよう手術を継続したため、手術を行う医師も気がつかないうちに内直筋断裂が生じたものと考えられるという。
和解に至った経緯については、内直筋断裂を生じさせてしまったこと、(内直筋断裂と)左眼球運動障害および複視が残ったこととの間に因果関係が認められると判断したため。市議会の議決を条件に和解金2,296万301円で合意に至った。
新潟市民病院では再発防止に向けて、内視鏡下副鼻腔手術を安全に施行するため他医療機関で開催されている手術研究会に参加し手技の向上に努める。また術中に眼窩損傷の有無を確認する頻度を増やすとともに、手術を録画記録し眼科損傷が疑われた際には迅速な検証と対応ができるようにした。