(株)東京商工リサーチが、「2019年『新潟県新設法人動向調査』」を公表
株式会社東京商工リサーチは4日、「2019年『新潟県新設法人動向調査』」を公表した。この調査は、東京商工リサーチの企業データベース(対象370万社)から、2019年(1〜12月)に全国で新しく設立された法人を抽出し、分析したもの。
それによると、新潟県の新設法人は1,005社(前年993社)と前年より若干増加、前年全国最下位であった新設法人率は2.57%(前年2.53%)となり最下位から脱却した。「新設法人数」−「事業を停止した法人数」(倒産企業+休廃業・解散企業数)は、2019年は+206社(2018年−127社、2017年-17社)と3年ぶりに増加となった。
法人格別では「合同会社」が引き続き増加
法人格別の社数では、株式会社が653社(構成比64.98%)で全体の約3分の2を占めた。次いで、合同会社が224社(同22.29%)、一般社団法人が44社(同4.38%)、農事組合法人が21社(同2.09%)、特定非営利活動法人(NPO法人)が19社(同1.89%)と続く。
合同会社は低コストでの設立が可能なほか、株主総会の開催が不要など経営の自由度が高く、2018年は前年比17.4%増、2019年は前年比14.8%増と増加傾向が続いている。全国的にも合同会社は増え続けている。
一方、全国的には目立たない農事組合法人は、新潟県で増加傾向にあったが、2019年は21社(前年比4.5%減)と僅かに減少に転じた。 そのほかには、医療法人や有限責任事業組合(LLP)、社会保険労務士法人、宗教法人などがある。
資本金別 1,000万円未満の増加が目立つ
資本金別では、「100万円未満」が206社(前年比4.5%増)、「100万円以上500万円未満」が476社(同3.0%増)と多かった。「1億円以上」は1社(同75.0%減)だった。
産業別トップは小売業
産業別では、10産業のうち、6産業が前年より増加した。増加率トップは、金融・保険業(前年比27.7%増)、 次いで、小売業(同17.9%増)、情報通信業(同16.2%増)が続いた。一方、県内でも例年構成比が高い建設業は、増加率2.4%にとどまったが、全国を見ると、都市部での建設需要の高まりや2019年3月から適用の公共工事設計労務単価が前年度比3.3%増加したことから、増加率トップ(同7.07%)となった。
なお新潟県の増加率トップは小売業だった。
市区郡別、新潟市中央区が圧倒的
市区郡別では新潟市中央区がトップで189社(前年比0.5%減)、次いで長岡市111社(同0.9%増)、上越市96社(同29.7%増)などとなった。コンスタントに増加してきた新潟市域は2019年若干減少(434社←442社)する一方、構成比2%以上の地域では、妙高市の増加(同64.7%増)が目立った。
新潟県の動向
新潟県は2016年に全国最下位から脱出したものの、2017年には46位に転落、2018年には新設法人率は上がったものの、全国順位は再度最下位に転落。2019年には社数は前年比で12社増、新設法人率は0.04ポイント上昇と小幅であったが、全国最下位からは脱出した。ちなみに青森(2.47%)や秋田(2.51%)などが法人新設率が低かったという。
政府は2013年6月に「日本再興戦略」を閣議決定し、開業率を欧米並みの10%台に引き上げる目標を設定し、全国的には新設法人数は増加を続けてきた。
一方、新潟県は休廃業・解散数も少なくないうえに、新設法人率も低位の状況が続いている。このようななかで、新潟県知事は、「成長産業の創出・育成や、起業・創業の推進」を掲げ、「人材育成や産学連携の支援」、「将来性が見込める産業分野への県企業の参入支援」といった取り組みのほか、「スタートアップフ拠点設置などへの助成」や「創業関連情報や成功事例の発信」、NICOなどとの連携での支援強化を進めている。