新潟県の花角知事が会見、総額約79億円の6月補正予算の概要を発表
新潟県の花角英世知事は10日、新潟県庁で定例記者会見を開き、総額79億2,200万円の「令和2年度6月補正予算」の概要などを発表したほか、拉致問題や自身の知事就任2年が経過したことについてコメントした。
「感染拡大防止策と医療提供体制の整備」、「次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復」、「強靭な経済構造の構築」という大きな3項目を掲げたという補正予算には、新型コロナウイルス感染症緊急対策に78億9,000万円、県央基幹病院の整備に3,200万円を計上した。
「感染拡大防止策と医療提供体制の整備」では、県民の生活を守るために事業者が行う「3密」を避ける取り組みへの支援を新たに展開するほか、PCR検査体制などの強化や新型コロナウイルス感染症患者の受け入れを行っている医療機関などの従事者が帰宅困難となった場合の宿泊施設を確保すること、新型コロナウイルスの感染症拡大リスクの低減を図るために介護施設などが簡易陰圧装置を設置する費用などを支援する。
陰圧装置とは内部の空気圧を外部より低く調整することで、空気は圧力の高いほうから低いほうに流れるため、陰圧室内の空気は外部に漏れず、感染源の拡大を防ぐ効果がある。
燕三条駅近くに開院予定の県央基幹病院は、感染症対策の強化など設計見直しの結果(450床から400床に減らす一方、陰圧対応の病床や個室を増やすなど)を踏まえ、整備を進めていく。
県ホームページによると、県央基幹病院は平成30年に県立病院となった燕労災病院と厚生連三条総合病院を統合再編する形で令和5年度早期の開院を目指していて、救命救急センターを併設するという。
県央基幹病院のページ
https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/kikanbyoin/1356819900468.html
「次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復」については、オンラインを活用した観光情報の発信強化や、企業立地環境情報の発信強化、県産農林水産物などの消費拡大、第二創業や起業・創業に関わる首都圏向け情報発信の強化などを盛り込んだ。
「強靭な経済活動の構築」については、サプライチェーンを再編し、生産拠点の国内回帰などを進める企業に対し、県内製造拠点の増設を新たに支援するほか、食品輸出国の消費行動の変化に対応するため、冷凍食品やパックご飯などの製造や出荷のための機器・施設設備を新たに支援する。
一方、5日に拉致被害者・横田めぐみさんの父親である横田滋さんが逝去されたことに対し、「被害者の家族会の代表を務められて、救出活動をやってこられた。最後までご家族最後の時間を過ごせず、本当に無念であっただろう。政府には一刻も早い救出活動を全力でお願いしたい。県としてはやることには限りがあるが、若い世代への関心を啓発していきたい」と話した。
このほか、6月10日で自身の知事就任2年が経過したことについては、「節目と言われてもピンとこないところもあるが、正直な気持ちはもう2年経ったのかなということだ。できるだけ地域に足を運んで、その地域の首長とコミュニケーションを通して地域の課題をしっかり認識をして、先送りしないでできるだけ動かすということに取り組んできた。それがどういう効果を生んだのかは時間が経って歴史の中で評価されることだ。今までやってきたことをこれからもやっていきたい。強いて中身で言えば、地域防災対策、地域医療、起業支援、交流人口の拡大の4つの柱を目指すべき政策課題として引き続きやっていきたい」と話した。