長岡児童・障害者相談センター(新潟県長岡市)が一時保護所を増設、児童虐待の相談件数増加や児童のプライバシーへ対応

新潟県は4月1日からの供用開始に向け長岡児童・障害者相談センター(新潟県長岡市)の一時保護所の増築と移転を進めていたが、同施設が完成したことから、報道機関へその一部を公開した。児童相談所では今回の増築により、喫緊の課題であった受け入れ体制の強化や、児童のプライバシーへの配慮に対応する。

現在の一時保護所は相談センター内にあり、1988年に現在の場所に建築。延床面積は163.06平方メートルで、居室3室の定員8人。定員を溢れた児童については委託施設へ預けるが、近年は児童虐待の相談件数増加に伴う一時保護の増加が拍車をかけていた。職員数についても相談件数に対応するために増加傾向にある。

また浴室は男女供用の1つのみで、トイレも男女各1つ。児童相談所の対象は0歳から18歳までと幅広く、また長い時は半年近く保護し、施設で生活することから、年齢・性別などといったプライバシー上の課題も「時代にそぐわない。限界が来ていた」と長岡児童相談所の熊倉克巳所長は話す。

長岡児童・障害者相談センター、奥に見えるのが今回増築した一時保護所

長岡児童相談所の熊倉克巳所長

今回は相談センターに隣接する土地に施設を増築(延床面積392.77平方メートル)し現在の場所から移転することで、居室を10室、定員を14人へ増強。基本を個人部屋としたほか、複数人が居住できる大部屋をつくり兄弟での入所にも対応する。また、施設内を収納可能な壁で区切り、夜間などは性別や年齢で分けることができる工夫を施したほか、浴室も男女1つずつに増やすなど、児童の感覚に配慮したつくりとなった。

加えて、長期の保護による運動不足解消のため、屋上には簡単な運動ができるスペースを設けたほか、居室を1階2階に分散して配置するなど、感染症対策にも取り組む。なお現在の一時保護所は移転完了後、職員の会議室などに改装する予定である。

熊倉所長は今回の増築について「乳児から高校生までが対象となるため、一口で『児童』と言ってもその発達には幅がある。男女や入ってきた理由も異なるため、個々の児童に配慮しないと、子どもたちは『なぜここにいなくていけないのか』と思ってしまう。この狭い空間で一緒に暮らすには、配慮と職員のマンパワー、プライバシーの確保や話を聞けて落ち着ける環境が必要。そうした意味で(今回の増築は)ずいぶん前進をしたのではないか」と話す。

そして「まず、ここに来て『ほっとした』と思ってもらえるような場所になってほしい。一時保護所に来るまで様々なつらい思いや、『大人に分かってもらえない』と思いを抱いてきた児童は多い。私たちのところではあたたかく迎え、今までとは違う環境で、大人を信頼できるような施設と職員体制にすべきだと思っている」と児童へのこれからの対応について語った。

一時保護所の食堂・学習室

屋上の様子、児童が運動できるよう床は柔らかい素材を敷いている

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