新潟県糸魚川市の県立海洋高校とSKフロンティアがチョウザメを養殖、キャビアを糸魚川市の特産品に
新潟県糸魚川市の新潟県立海洋高校は産学連携の一環として、チョウザメの養殖を行っている。チョウザメの養殖は全国約50カ所で行われているが、学校が関わるのは同校を含めて全国でも2校のみ。3年後にキャビアをとり、同市の特産品として売り出したい考えだ。
同市の農業生産法人、有限会社SKフロンティア(新潟県糸魚川市)が水槽や魚を管理しており、同校生徒が週に何回かバスに乗って実習に来る。同校のほかには、栃木県の県立馬頭高校が養殖を行っている。同社は本業がわさび園で、毎分4トンの地下水を汲み上げ、ワサビ栽培に使用している。その大量の排水を再利用しようと、5年前にチョウザメなどの養殖に乗り出した。
同校常勤講師で、水産学博士の渡邊憲一氏によると、チョウザメの魚卵であるキャビアがとれるようになるまでには8年が必要だといい、それまでの投資期間が長いため、ほかに本業があり、兼業で行う必要がある。また、水やえさ代など運営費用も多額で、参入障壁が高いという。
キャビアは世界3大珍味と言われるが、クラッカーや刺身にのせて食べるのが一般的。市場価格は1グラム300円であり、超高価な食べ物である。キャビアは海外ではヨーロッパなどで養殖されており、輸入品は日持ちさせるため、塩分濃度が高い。一方、国産キャビアはフレッシュキャビアと呼ばれ、生のキャビアが楽しめるのが特徴だ。
一方、オスは3年ほどで食用として料亭やホテルなどで高級魚として提供される。薄く切った刺身がほとんどで、味はフグに似ているという。
同社の渋谷一正代表取締役は「最初に700匹の幼魚を入れても大きくなるのは300匹。そのうちの半分がメスだとしても150匹だ。キャビアが1匹30万円分となるとして、あと3年で4,500万円から5,000万円が見込める計算だ」と話す。
渡邊常勤講師は「今は世界で獲れる天然の魚が年間1億トン、養殖が1億2,000万トンだ。今後、天然は増えないだろう。養殖は中国が多いのも要因だが、すでに養殖が逆転しており、これからは人間が農業のように作るしかない。SKフロンティアと海洋高校は幻の魚と言われる絶滅危惧種のイトウも養殖している。糸魚川の特産として、地域振興に繋げていきたい」と話していた。