新潟県とNICOが県内外の起業家を支援する「スタートアップ育成プロジェクトチーム」第1回会議を開催
新潟県、公益財団法人にいがた産業創造機構(NICO、新潟市)は6日、県内外の起業家を支援するための「スタートアップ育成プロジェクトチーム」第1回会議(座長・伊藤龍史新潟大学経済科学部准教授)をプラーカ3(新潟市中央区)で開催した。この日は東京からのテレビ会議での参加者を含め、教育界、行政、起業家、オブザーバーの委員11人が参加し、新潟県におけるスタートアップ・エコシステム(成功した起業家、弁護士、大学、メンター、ベンチャーキャピタルなどの支援者がいて、起業家・企業家を循環的に生み出し続ける生態系)のほか、都市のイノベーションエコシステムの機能要件、新潟へのUIターン起業の促進のための情報発信などにについて議論した。
このうち、スタートアップ・エコシステムでは、ヒト、モノ、カネ、場のそれぞれに強みがあるとして、「新潟モデル」として全国発信する考え。具体的には、ヒトは県内有力経営者(新潟経済同友会など)や若手ベンチャー経営者(フラー株式会社の渋谷修太社長など)などで、モノは、燕三条地域のものづくり技術や越後湯沢や佐渡などの潤沢な観光資源など、カネでは、新潟ベンチャーキャピタル株式会社がある。
また、株式会社野村総合研究所の駒村和彦グループマネージャーがエコシステムについて説明した。エコシステムの規模感は県では広すぎるとし、10万人規模程度のエリアをひとくくりとするイメージだとした。駒村グループマネージャーは「新潟市、長岡市、上越市がひとつずつの感じだ。数十万人規模となる」と話した。
新潟へのUIターン起業の促進のための情報発信事業については、新型コロナウイス感染拡大により、首都圏一極集中のリスクが顕在化するなかで、首都圏の優秀な起業家人材の新潟での起業、優良ベンチャーなどの新潟での支店、サテライト開設を促すための情報発信を行うなどとしている。株式会社アイセックの木村大地代表取締役社長CEOは「国として副業兼業が促進される中、東京で勤務しながらも地元新潟に何かしら貢献していきたいという優秀な人もたくさんいる。新潟は採用が困難というが、ベンチャーに人材補完できるハブ的な環境が求められると思う」と話した。
さらに、、新潟ベンチャーキャピタル株式会社の永瀬俊彦代表取締役がファンドの概要を報告した。NICOなどが出資するファンド「新潟インキュベーションファンド1号投資事業有限責任組合」の運用期間は2010年から2020年6月までの期間だったが、2年間延長した。ファンド総額は6億2,200万円。投資対象は原則新潟県内に本店を持つ企業が対象だが、県外本社企業も県内経済に大きな影響を有する企業は対象としている。永瀬俊彦代表取締役は、「ファンドの出資先は新潟県本社とそうでない会社と半々くらいだ。そのなかから上場しそうな会社が数社ある。上場してキャピタルゲインを得るだけなら普通のファンドと変わらない。弊社は新潟に貢献するのが使命」と話していた。
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