新潟県三条市の小学校で16年前の7・13水害の特別授業を実施
2004年に発生した7・13水害の記憶を次世代につなごうと13日、三条市立嵐南小学校の4年生145人を対象に同校体育館で特別授業が開催された。14日も開催され、防災気象アドバイザーの内藤雅孝さんが水害時の様子や防災、天気について講演する予定だ。
13日の特別授業では、当時の南四日町1丁目自治会の上石貞夫副会長が講演。五十嵐川の堤防が決壊し、死者が出たことなど当時の様子を語った。また、「その年の10月23日に中越地震が山古志村を中心に起きた。私は何か恩返ししたいと寄付を考えた。自分の食べるお米を一握り寄付するというお米一握り運動を仲間で考えた。なんと、3キロも集まった。お金も20万円が集まった。それを三条市の社会福祉協議会に届けて、7・13水害の時に助けてもらった恩返しができた」と話していた。
そのうえで、「その経験から助け合い精神が大事だと思い、自分で老人クラブを立ち上げた。最後に言っておきたいのは、危険を感じたらすぐ逃げること、自分だけがいいのではく、助け合うことが大事」と語っていた。
児童たちはにメモを取ったり、話に聞き入ったりするなど熱心な態度だった。
講演が終わり、質問の時間になると、「逃げた場所は?」「どのくらいで治ったのか?」「避難の時の食料は?」などと児童は次々と手を挙げて質問していた。上石さんは「ボランティアはどのくらい来たか?」という児童の質問に対しては、「毎日5、6人来た。床下の泥だしを行った」と話していた。
堤防決壊時刻の午後1時15分から1分間
一方、三条市は13日、五十嵐川水害復興記念公園に献花台を設置し、堤防決壊時刻の午後1時15分から1分間、國定勇人市長や地元選出の県議、市議など関係者が黙とうを行なった。また、同市担当者によると、一般市民20人ほどが献花を行っていたという。
三条市のホームページによると、2004年7月13日、新潟県中越地区を中心とした地域を大規模な集中豪雨が襲い、特に、13日朝から昼過ぎにかけて三条地域、長岡地域を中心に非常に激しい雨が降った。その後、夜に入っても降り続き13日の降水量は、笠堀ダムで474ミリメートル、三条市西裏館で217ミリメートルを観測し、過去の最高降水記録を更新したという。その後も大雨が続き、12日の降り始めから14日までの総降水量は、笠堀ダムで491ミリメートル、三条市西裏館では、228ミリメートルを記録した。
この豪雨により、五十嵐川や刈谷田川など6河川で11か所が破堤し、市街地が浸水するとともに、各地でがけ崩れなどが多数発生した。三条市においては、死者9名、重傷者1名、被害棟数1万935棟、被害世帯7,511世帯と甚大な被害を被った。