老舗の涼味を気軽に〜元菓子屋(村上市塩谷)【村上新聞】
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黒蜜で楽しむ「ほうじ茶プリン」(左)と「わらびもち」
村上市塩谷の老舗菓子店「元菓子屋」が曜日・数量限定で製造している涼味がこのほど、地元住民から口コミに火がつき、人気を集めている。企画・製造を担当するのは、北前船が航行した天保年間(1800年代)から、寄港地として栄えた同地で商いを営んできた同店の8代目・野澤大さん(31)。うどん店から興ったとされる和菓子舗において、学生時代には洋菓子づくりを学び、洋菓子店への勤務経験もあるという若手職人だ。
コロナ禍を“新しいアイデア”の時間に
普段は、冠婚葬祭用の進物となる菓子製造を数多く手掛けている同店にも、新型コロナ禍による催事が縮小が影響。野澤さんはそんな状況を「新しいことを考える時間ができた」とポジティブに捉え、新しいアイデアを形にしたという。
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北前船の寄港地として栄えた港町は、妻入りや出格子の町屋づくりの家々が風情豊かに建ち並ぶ
火・金曜日限定製造〜午前中に売り切れも
地元の人が気軽に楽しめる価格帯や形状を意識し、毎週火曜日と金曜日を“おやつの日”として5月からは「わらびもち」(200円)を販売。天候によって水分量を微調整するなど、細やかな手仕事でつくられており、あっさりとした甘さと舌ざわりの好い食感が特徴。親しみやすいきなこと黒みつのコクで、小ぶりながらも満足感のある食べ応えとなっている。また、6月には「ほうじ茶プリン」(200円)が完成。インドの“チャイ”をヒントに、牛乳と生クリームでつくった下地で、じっくりと茶葉を煮出し、卵を加えて蒸しあげたもの。夏にぴったりのつるんとした食感に、強めにかおるほうじ茶が香ばしく、SNSには「ほうじ茶の塊みたいでおいしい」という投稿も。いずれも手づくりで1日20個から30個程度の限定となっている。
野澤さんは「プリンはよく冷やして、わらびもちは冷やしすぎると質感が変わるので、食べる30分くらい前に冷やすのがおすすめ。そろそろ次の新作を完成させます」と笑顔で話していた。
問い合わせは、元菓子屋TEL0254(66)5551まで。
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住居と店舗が一体の元菓子屋も町屋づくりの建物
村上新聞2020年7月19日号