藤基神社(新潟県村上市)で江戸時代に描かれた村上藩主・内藤家の肖像画2枚が発見
村上藩主(内藤家)を祀る藤基神社(新潟県村上市)で、江戸時代に描かれた村上藩主・内藤家の隠された肖像画2枚が新たに発見され、21日報道陣に公開した。絵の下に絵が隠されいるという珍しい形で発見された。
村上藩主を祀る藤基神社には、内藤家歴代の肖像画10枚が門外不出の秘宝として伝えられてきたが、うち3枚は絵が剥がされた額枠が残された状態、ほか1枚は一部が剥がされた状態だったという。こうしたなか、2枚を表具屋へ依頼し、白紙を剥がしたところ、隠されていた肖像画が新たに発見された。なお、今後、白紙が貼られたままの状態になっている絵(今回紙を剥がさなかった1枚)は、それ自体に文化価値があることから市と協議し今後どうするか検討するという。
また今回発見された絵はすべて絹地に書かれた絵(絹本)である一方、他の現存する絵はすべて紙に書かれた絵(紙本)であるため、すべての肖像画の下にも絹本の肖像画が隠されている可能性もあるそうで、神社では村上市と協議し、紙本の下に絹本があるか調査することも検討している。
内藤家の初代・信成氏は徳川家康の異母兄弟になる。5代・弌信氏の代(1720年)に村上藩主となり、10代・信敦氏は侍従となり天皇陛下に仕えた。11代信思氏は幕府老中で、桜田門外の変で暗殺された井伊直弼氏の大老就任の功労者だという。なお資料を見ると信思氏も侍従だった。
なお、絵の額枠に観音開きの扉がついている初代・信成氏と、侍従の官位にいることがわかる10代・信敦氏の肖像画以外は、何代目の肖像画か判然としないという。また10代から13代の肖像画は、明治の廃藩置県以降だったり戊辰戦争の最中であったりしたことから描かれていない模様だ。
御祭神である歴代村上藩主の肖像画は、これまで本殿内部に置かれ、過去に1枚だけ公開したことはあるものの、本殿を開けることができる時の宮司以外は見たことも詳細も知らなかったという。だが、内藤家が村上藩主になって300年の記念の年であることから公開することにした。今後は、神社のみならず、市や新潟県全体の宝でもあることから、郷土資料館などに預けて公開していくことも検討している。
旧村上城内に鎮座し村上藩主を祀る藤基神社は、1717年に江戸で創建され、1849年に現在の地に遷座された。村上城内三の丸に位置し、城の遺構を形づくるものとして城山城郭などとともに、境内全域が「国指定史跡 村上城跡」に指定されている。