東北電力(株)が3年後に営業運転開始予定の上越火力発電所を公開、世界最高クラスの熱効率
東北電力株式会社は5日、新潟県上越市内に建設を進めている「上越火力発電所」の言説現場をマスコミに公開した。
発電所は発電所本館建屋、社員などが入るサービスビル、煙突などからなり、昨年7月に本格的な建設工事を開始した。今年4月に土木工事が終わり、現在は発電所本館建屋やダービンの据付のための基礎工事などを進めている。7月20日の工事進捗率は13.9%。2022年4月の試運転開始、2023年6月の営業運転開始を計画している。なお新型コロナ感染症による資材調達の遅れや人体体制などへの影響はなく、ほぼ計画通りに工事は進んでいるそうだ。
上越火力発電所は1995年に中部電力株式会社と東北電力の共同出資で設立した上越共同火力発電所株式会社が建設することとしていたが、電力自由化の進展などから開発計画を見直し、2003年に上越火力発電所は解散。
そのうえで現在、1・2号系列をJERA(東京電力と中部電力が燃料調達コストの削減や火力発電事業の効率化を目指して共同設立した火力発電事業会社。世界最大級の燃料取扱量を誇る)、3号系列を東北電力が事業継承している。
東北電力の上越火力発電所は出力57.2万kW(一般家庭約80万世帯分の年間使用電力量相当)の規模。また八戸(41.6万kW)、能代(120万kW)、仙台(46.8万kW)、秋田(95万kW)、新仙台(104.6万kW)、東新潟(481万kW)、新潟(10.9万kW)、原町(200万kW)に続く東北電力9か所目の火力発電所となるほか、東北電力管内の最南端に位置することから電力の安定供給に向けたリスクヘッジにもなる。
ガスダービンは三菱日立パワーシステムズと東北電力が共同開発した最新鋭のものを採用、設計熱効率は63%以上で世界最高クラスという。また煤塵や硫黄酸化物の排出量はゼロであるうえ、窒素酸化物や二酸化炭素の少なくなっていて、二酸化炭素の排出量は同社が運転中の最新鋭の設備と比較しても3%削減可能という。
1日の電力需要の変動や再生可能エネルギーからの電力受け入れなど重激な変動に対応できるよう出力調整を短時間で行えるようにした。
このほか、津波対策や地震対策も施している。
なおLNGはJERAから調達するそうだ。
一方、現在350人が現場で働いていて、今後ピーク時には500〜600人が働くことになるという。作業員の新型コロナ感染防止対策として、37度を基準に検温を行っているほか、行動歴の記録や懇親会に参加しないことなどを依頼しているという。建設現場では熱中症対策もあり、厚労省が示している方針に基づいてマスクは着用していない。また熱中症対策として、現場のいたるところに扇風機を配置したテント(エイドステーション)を設置し、随時、水や塩分を補給できるようにしている。