株式会社コメリ(新潟市南区)が2022年3月期決算(連結)と中期経営計画を発表
株式会社コメリ(新潟市南区)は26日、2022年3月期決算(連結)を発表した。営業収益は3,760億9,400万円、営業利益は278億2,500万円、経常利益は282億4,800万円、親会社株主に帰属する当期純利益は178億9,700万円となった。
なお同連結会計年度より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用しており、対前期増減率については、2021年3月期に当該会計基準等を適用したと仮定し算定した場合、営業収益で前年同期比1.5%減、営業利益で同7.6%減、経常利益で同6.4%減、親会社株主に帰属する当期純利益で同11.7%減となる。
コメリでは、営業概況は前連結会計年度の緊急事態宣言下で急増した需要の反動減、夏場の天候不順などの影響があったが、DIY、ガーデニング資材などを含む工具・金物・作業用品、リフォーム資材・エクステリア用品、園芸・農業用品といった同社の核カテゴリーは底堅く推移。中でも、木材価格の高騰により、合板や荒材などの需要が高まり、建設事業者などのプロの顧客から支持を得て、関連商品の販売も含めリフォーム資材・エクステリア用品は堅調となった。
コメリグループの成長戦略の要である出店については、コメリパワー(パワー)を8店舗、コメリPRO(PRO)を3店舗、コメリハード&グリーン(ハード&グリーン)を7店舗の計18店舗を出店。一方で退店については、業態転換、ビルド&スクラップなどに伴い、ハード&グリーン、アテーナを12店舗実施した。この結果、同連結会計年度末の店舗数は、パワー84店舗、ハード&グリーン1,114店舗、PRO9店舗、アテーナ7店舗、合計で1,214店舗となった。なお、このほかに非連結子会社が運営する海外ハード&グリーンが1店舗ある。
自社開発商品についても堅調に売上を伸ばし、売上高構成比率も前年同期比で1.9%増の45.4%へ引き上げた。Eコマース販売については、1,200を超える店舗ネットワークを最大限活かし、BOPIS(Buy Online Pickup In Store)の取り組みを進めたことで堅調に推移した。リフォーム事業は全店で受付可能な住宅設備機器の簡易取付・施工サービスや、庭木の手入れ、エアコンクリーニングなどの住関連サービスを拡充するとともに、従業員の教育体制も強化したことで堅調に推移した。
自社発行しているコメリカード(クレジット機能)、アクアカード(プリペイド機能)などのカード会員数は440万人を突破。コメリアプリと連携させることで顧客のニーズを把握し、タイムリーな各種販売促進を行うとともに、使うほどにポイントの還元率が上がるFSPプログラムにより固定客化も進んでいるという。
農業協同組合(JA)との協業については、2020年3月1日からJA上伊那との協業を本格的に開始。2021年4月からは山形県のJA山形おきたま、和歌山県のJA紀の里とも協業を開始し、現在17のコメリ店舗での協業に至る。2022年3月には三重県のJA伊勢、JA多気郡と協業に向けた協議を開始しており、今後もより一層農家の利便性向上に向けて取り組むという。
商品部門別の状況については以下の通り。
工具・金物・作業用品
前期に需要の高まった電動工具や塗料など、DIY向けの商品について反動減が見られたが、機械釘などのプロの顧客が使用する消耗品に関しては販売が堅調に推移した。季節性の高い作業衣料に関しては例年以上の販売はあったものの、前期の猛暑、降雪時の需要には届かなかった。
これにより売上高は、657億300万円となった。
リフォーム資材・エクステリア用品
ウッドショックなど、原材料の高騰により価格上昇の影響がみられたが、合板や仮設資材などのプロ向け資材の需要が高まった。また、住環境改善ニーズは高く推移しており、住宅機器は簡易取付・施工など、商品だけでなくサービスの売上も堅調に推移した。
これらにより売上高は、579億3,500万円となった。
園芸・農業用品
前期に需要が高まったガーデニング、家庭菜園資材の販売は引き続き底堅く推移。夏場の天候不順の影響もあり除草剤、刈払機などの雑草対策品種に関しては販売が伸びなかった。
これらにより売上高は、870億2,100万円となった。
日用品・ペット用品
前期に需要の高まったマスクやハンドソープ、アルコール消毒液などの衛生用品において反動減あったが、ペット用品に関しては猫用のフード、衛生用品などが堅調に推移。
これらにより売上高は、564億5,800万円となった。
家電・レジャー用品
エアコン、ファンヒーターなどの冷暖房機器や、自宅や近場でも楽しめるレジャーとしてバーベキューコンロや木炭などのキャンプ用品の需要は底堅く推移した。
これらにより売上高は、435億7,800万円となった。
インテリア・家庭用品
高機能マットレスや季節を選ばずに使えるラグの販売は堅調に推移したが、前期に需要の高まった収納用品や清掃用品において反動減があった。
これらにより売上高は、307億9,200万円となった。
燃料ほか
灯油は、客数に関しては前年並みだったが原油価格の高騰もあり単価が高く推移した。
これにより売上高は、162億900万円となった。
次期の見通しと中期経営計画の公表
コメリは次期連結会計年度については、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種が進み、経済社会活動正常化に向けた動きが期待されるものの、沈静化にはまだ時間を要すると見込まれると予想。またロシア・ウクライナ情勢が世界経済に与える影響や、エネルギーおよび原材料価格の上昇、急激な円安など、経営環境は引き続き厳しい状況が続くものと予想する。
こうした環境を踏まえ、次期の連結業績見通しについては、営業収益は3,850億円(前年同期比2.4%増)、営業利益は285億円(同2.4%増)、経常利益は286億円(同1.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は181億円(同1.1%増)を見込んでいる。
新規出店に関しては、パワーを10店舗、PROを5店舗、ハード&グリーンを17店舗、計32店舗を計画。また、既存店改装については店舗年齢の若返りを図るべく、約10万坪を計画している。
また26日には2023年3月期から2025年3月期の中期経営計画を公表。4つの重点施策、「成長基盤投資」、「暮らしを守り・育てる商品開発」、「チェーンリフォーム」、「ネットとリアルでより身近に」を着実に実行することで、資材・建材、園芸・農業資材市場における遅れた分野の流通近代化を進め、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図る。
また、2025年3月期までに店舗数を100店舗増の1,314店舗体制とするほか、既存店の売り場面積の10%を毎年改装する。流通センターは2ヶ所新設する計画で、3ヵ年で店舗、物流システムなどへ計800億円を投資する方針。商品開発では、2022年3月期に45.4%だったプライベートブランド商品の売り上げ構成比を2025年3月期に50%へ引き上げる方針だ。
これらにより、営業収益4,180億円、営業利益320億円を目指すとしている。