一正蒲鉾株式会社(新潟市東区)が2020年6月期決算(連結)を発表
一正蒲鉾株式会社(新潟市東区)は7日、2020年6月期決算(連結)を発表した。売上高は360億4,700万円(対前期比1.3%増)、営業利益は18億8,800万円(同44.4%増)、経常利益は18億6,700万円(同48.8%増)、親会社株主に帰属する純利益は2億5,200万円(同△62.4%減)となった。
純利益が減少した理由は、連結子会社である一正農業科技(常州)有限公司が保有する資産について、新型コロナウイルスの影響で中国国内の不動産市況や設備投資動向が不透明な状況であるため「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき資産性を評価した結果、資産の減損処理を行い、減損損失10億1,200万円を計上したことなどによるもの。
一方、期中の国内経済は、企業収益や雇用環境の改善が続くなかで、当初は全体として緩やかな回復基調で始まったものの、相次ぐ自然災害の発生、消費税増税、米中貿易摩擦などのほか、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により経済活動は停滞するなど先行きの見通しは予断を許さない状況だった。
また新型コロナウイルス感染拡大防止のため、不要不急の外出自粛などで、巣ごもり消費が増加したり、不安心理から一部の日用品について買い溜めが発生したりと今までにない消費行動も起こり、需要動向を予測することが難しい状況だった。また、原材料価格の上昇や人手不足を背景とした人件費などのコストの増加が見込まれており、経営環境は厳しいものだった。
このような状況のもと、同社グループでは、“ICHIMASA30ビジョン”(30年後の目指す姿)を目指し、2016年7月から21年6月までの5ヶ年の中期経営計画を策定し、「成長基盤創り」と「お客さまが中心」を基本方針とし経営課題に取り組んできた。
こうした結果、セグメント別の事業概況は以下の通りとなった。
【水産練製品・惣菜事業】
主力商品群の「カニかま」は魚肉たんぱくが手軽に摂れる食材としてメディアに取り上げられ、健康志向が続くなかで販売が伸長した。年末のおせち商品は、純国産原料を100%使用した「純」シリーズや甘さを抑えた伊達巻などが好調に推移した。
また、おでん商材は、昨年の秋・冬シーズンにおいて、例年と比べて全国的に気温が高めであったため「揚物」は軟調に推移したが、外出自粛により、内食需要が増加したことから調理の簡単な「レトルトおでん」が堅調な売れ行きとなった。
利益面では、世界的な健康志向の高まりから水産加工品需要が拡大し、すり身価格が高止まりしており厳しい状況が続いたが、生産効率の向上を目指した生産ラインの人員配置の効率化やコストダウン活動を実施したほか、原油安によるエネルギー単価の下落などにより、前期を上回る結果となった。
以上の結果、同セグメントの売上高は305億3,000万円(対前期比2.0%は増)、セグメント利益(営業利益)は8億1,800万円(前期は2億9,900万円のセグメント利益)となった。
【きのこ事業】
昨年の秋から冬にかけて野菜の生育は順調な一方で、鍋物用野菜の需要は低調だったため、野菜市場価格およびきのこ市場価格は軟調に推移した。第4四半期においては、新型コロナウイルス感染拡大による内食需要の増加の影響で、野菜市場価格およびきのこ市場価格は一転して堅調となった。
このような市場環境のなかで、まいたけは前年に市場価格が上昇した反動もあり、年間を通じて前年を下回る価格で推移した。
生産面で、安定栽培や生産の効率化、品質管理体制の強化に努めるとともに、販売面で、まいたけの需要喚起を目指しメニュー提案などの販売促進を強化した。
以上の結果、同セグメントの売上高は50億2,700万円(対前期比2.5%減)、セグメント利益(営業利益)は9億5,200万円(前期は8億7,700万円のセグメント利益)となった。
【その他】
運送事業は、既存顧客との取引深耕や新規輸送便の開始により、売上高・利益とも前期を上回る結果となった。倉庫事業は、新規入庫量が前年実績を下回ったことに伴い、保管在庫量も低調に推移し、売上高・利益ともに前期を下回る結果となった。
以上の結果、その他の売上高は4億8,900万円(対前期比0.8%減)、その他の利益(営業利益)は1億800万円(前期は1億2,200万円のセグメント利益)となった。
2021年6月期の連結業績見通しについては、売上高370億円(対2.6%増)、営業利益19億円(同0.6%増)、経常利益19億円(同1.7%増)、純利益10億円(同295.6%)を見込んでいる。