株式会社ろさん(新潟市中央区)が魚の売買アプリを来年中にリリース、目指すは「漁業を通じた新潟の活性化」
2020年設立の株式会社ろさん(新潟市中央区)は、魚の売買ができるアプリを来年中にもリリースする。釣り人や漁師などが獲った魚をリアルタイムで、飲食店や小売店などに販売できるアプリで、順次、一般消費者も購入できるようにしていく予定。さらに、魚の処理方法、レシピなども共有できるようにするなどコミュニティ機能も搭載していく。
漁業を取り巻く環境は、漁師などの高齢化などに加え、水産資源の減少などの課題を抱えている。こうしたなか、資源の無駄を削除し、漁業を持続可能にしたいとアプリを開発することにしたという。多店舗展開する札幌市の寿司店「すし善」で勤務しているときにいち早く顧客管理システムや仕入れシステムなどを導入するのを見てきたという畠山正義氏やYouTube「釣りなじ」を運営する野口元気氏などが共感し参画している。
通常、獲った魚は鮮度を保つため、神経締め、血抜きなど処理しているが、買い手側には様々な処理方法の需要がある。このため、アプリでは、売り手が処理方法などの情報を加えることで、買い手側の多様な要望に対応できるようにする。
また、販売額推移、価格、天候、処理方法など様々なデータを蓄積し、いま求められている魚種や価格などを売り手に示す機能なども搭載し、未利用魚を減らして水産資源に有効活用につなげていきたいという。
さらに、売り手は、加工品の販売などもできるようにしていく。
一方、「加工の方法(加工品の作り方)」、「人気のレシピ」、「漁場」などの情報などをやりとりするコミュニティ機能も搭載。そこから新たなアイデアが生まれたり、参加者がウィンウィンの関係になったりすることで漁業全体の底上げ、活性化につなげていく。
今後は、野口氏の発信力を生かし、オウンドメディアを構築し、水産物だけでなく、新潟の逸品、観光地などの情報も発信していく。また、自社で炉端焼き店を運営し、店舗を「水産物のショールーム的」に活用し、アプリでの購買につなげていきたいという。店舗では、食材、備品などもすべて新潟産にし、来店する観光客などに新潟の魅力を発信していく。
こうした取り組みにより、農業で行われている「観光農業」「6次産業化」的な取り組みを新潟の漁業でも広めていく。
目指すは漁業の活性化を通じた「新潟の活性化」で、うまくいけば全国にも広げていきたいそうだ。
なお新潟の漁業関連をめぐっては、株式会社SAKAMA(東京都)が今年3月、佐渡島沖で漁れた活きた状態の南蛮エビ(アマエビ)を5尾、生鮮のものを25尾セットにして届ける食育セット「はねっ娘セット」の販売を始めたり、SIIG株式会社(新潟県柏崎市)が2020年に釣り人向けアプリをリリースしたりと新たな動きも出始めている。