新潟県上越市出身の児童文学作家、小川未明生誕の地に建立された詩碑と石塔の除幕式を実施
日本のアンデルセンと称される新潟県上越市出身の児童文学作家、小川未明が今年で生誕140周年にあたることから、上越市の市民団体、小川未明研究会(代表・小埜裕二上越教育大学教授)は7日、小川未明生誕の地に建立した詩碑と石塔の除幕式を行った。
この日は、上越市の中川幹太市長のほか、小川未明の孫にあたる詩人の小川英晴氏も東京都から駆け付けた。そのほか、地元町内会長や小川未明研究会会員など、約40人が集まった。
詩碑には、「弱き者のために立ち 代弁なき者のために起つ 我これを芸術の信条となす」と刻まれており、小川未明が70歳の時に掛け軸に書いたもの。その掛け軸は現在、小埜教授が所蔵している。
また、石塔は小川未明が住んでいた東京都高円寺の自宅に長年あったものを移築した。小埜教授によると、小川未明は毎日この石塔を眺めていたのではないかという。
設置場所は小川未明生家の近くで、旧畑地で現在は小埜教授などが所有している。
来賓として挨拶した中川市長は、「当市に小川未明を顕彰する重要な拠点ができたことは大変喜ばしい。当市では今年度市民活動団体と連携し、小川未明の顕彰事業に取り組んでいる。小川未明が残した多くの作品や文学精神を次世代に伝えていきたい」と話した。
小川英晴氏は「生誕の地に石塔がよみがえったのは、小川家にとって意味が大きい。詩の内容は、未明の最も大事なところだ。未明は文学的に芸術性を求めるのではなく、常に弱者の見方に立って戦うことを芸術の信条にしていた。普通の文学者とは根本的に生き方が違う」と話していた。