新潟県、ほ場整備などハード面からも農業の高収益化を推進中
新潟県では、農家の収益力向上につながるほ場(田や畑などの農地)整備など、ハード面から農業の高収益化を進めている。
水田の汎用化
例えば水田の汎用化(乾田化)だ。汎用化とは、暗きょ(排水施設)などを整備し、水はけを良くすることで、水田を稲作だけでなく、高収益作物(枝豆や大豆などの畑作物)の栽培もできるよう(畑としても使用できるよう)にすること。汎用化を行った結果、弥彦で枝豆の栽培を始めたところが現れたほか、新発田でもアスパラ、玉ねぎなどの栽培を始めたところなどが現れたという。
ちなみに県内の水田の汎用化率は平成24年度46・1%だったが、平成28年度には49・2%に上昇している。県では、今後も年1000ha超のペースで汎用化を進め、平成36年度末までに汎用化率55・2%を目指している。
ほ場整備
ほ場整備事業も進めている。ほ場整備事業とは、日本は国土が狭くて山がちのため多くの田畑の区画は小さく、不整形となっているが、こうした農地の区画を整形することによって、生産性の高い農地に作り変える事業(下の写真参照)。平成16年度から25年度までに整備が完了した15地区への県の聞き取り調査によると、整備により労働時間が約8割削減し、大幅に生産性が向上したという。
また、ほ場の整備にあわせた、園芸(枝豆や大豆など)の導入・拡大にも乗り出している。平成31年度以降に、ほ場整備を新規着工した地区においては、その面積の2割以上を園芸に振り向ける施策を打ち出したのだ。(なお必ずしも新たに整備したほ場の2割を園芸に振り向けなければならないということではなく、既存で行っている施設園芸の拡大を図るという手法もあり得るそうだ)
この“2割”を達成するため、農業者の園芸に対するモチベーションを高めてもらう取り組みも始めている。具体的には、「優良なモデルほ場」の見学会の開催などだ。見学会を通じ、栽培ノウハウ(園芸に必要な機器の知識など)や、売り先の確保などについて学んでもらっている。
また、県下に12か所ある全ての地域振興局に、JA、自治体、農業者などで構成する園芸推進組織を発足した。この組織では、販売面に精通したJAなどから意見を聞きながら、生産から売り先確保まで、園芸拡大に向けた具体的な計画を策定していくという。
農地集積
ほ場整備とともに、農地中間管理事業を活用した農地集積(大規模化)も進めている。ほ場整備事業地区の農地集積率は、平成25年度の58・9%から、平成29年度には74・4%に向上している。これは県全体の数字(61・5%)よりも、12・9ポイント高い数値。県では、ほ場整備や農地集積などの経営効率化により余剰となった労働力を、(収益の高い)園芸に振り向けてもらいたいとしている。