新潟県上越市の「うみがたり」で不審なイルカの連続死
新潟県上越市の市立水族博物館「うみがたり」のイルカが2018年6月のオープンから2年で4頭も死んだことで、上越市内を中心に物議を醸している。今年7月にシロイルカ2頭が全滅。シロイルカを展示しているのは国内では同館を含め5館だけで、県内では同館のみだった。バンドウイルカ4頭のうちの2頭、シロイルカ2頭すべてが、2年足らずのうちに次々に死亡したのだ。イルカショーは「うみがたり」の売りでもあったため、経営上の影響も懸念される。
旧水族館の駐車場部分に建てた新水族館は全体としてもコンパクトな作りになっており、かねてから指摘のあった水槽の狭さが死亡の要因ではないかという声も一部ある。また、一部の市民からは突貫工事で水槽のモルタルの質が悪く、強アルカリ性の成分が溶け出し、腎臓などを悪くしたのではないかという推測も出ている。
様々な死因
市の発表によると、判明している死因は今年5月死亡のシロイルカは尿毒症、昨年3月までに死んだバンドウイルカ2頭はそれぞれ、感染性肺炎、腎炎と膵炎だった。詳細な原因究明は、上越市教育委員会主催の第3者の専門家(飼育、建築、水質の各分野を専門とする大学教授5人)による検証委員会により行われ、今年11月頃までをめどに検証結果をまとめる予定だ。
動物愛護団体も要望
今年7月に上越市教育委員会の早川義裕教育長に原因究明などを求めた上越動物愛護協会の渡辺隆会長(上越市議)は「会員の中では、イルカをめぐっては、そもそも捉えて展示するのはどうなのかという意見と、教育のために博物館として展示するのは必要という意見が別れる。会員の一部にはイルカショーを疑問視する人もいる。とにかく、管轄する保健所には適正な飼育をしているか精査してもらいたい」と話している。
うみがたり飼育長のコメント
「うみがたり」の野々山良飼育長は電話取材に対し、「誠に残念だ。飼育は全力で取り組んでいるが、結果としてこうなっているので今後は気を付けていきたい。死亡した4頭は全頭とも同じ死因ではないので、原因は明確に突き止められない。第3者検証委員会の報告を待っている」とコメントした。
ある市議は第3者検証委員会の結果が出るまではイルカショーは中止したほうがいいと提言しているが、委員会の回答次第ではイルカショーの存続も危ぶまれる可能性が出てくるだろう。