社内外に向けて経営ビジョン発表会の様子をオンラインでLIVE配信した(株)ハーヴィッド(新潟市)

社内の様子

サイン(看板)工事などを手掛ける株式会社ハーヴィッド(新潟市東区)は今年7月8日、経営ビジョンの社会発表会を行った。売上高、利益、自己資本比率の現状と目標、SWOT分析の結果、今後の方針などを社内で共有することができたという。また、新型コロナウイルス感染症の影響で、業績が仮に昨年比50%で推移しても経営危機に陥ることはないというシミュレーション結果も共有した。「従業員からは社長の考えている方向性を理解することができた、モチベーションが高まったという感想を聞くことができました」と小田利洋CEOは振り返る。

さらに発表会の様子はオンラインでLIVE配信し、社内はもとより、事前に案内した20人ほどの外部の人(同業の経営者、知り合いの経営者、NPO法人の関係者、大学教授など)も視聴し貴重な意見を聞くことができたという。「共感できたという声もありましたが、『甘い』、『カラーが見えない』などという厳しい意見もいただき、今後の参考になりました」(小田CEO)と話す。

7月8日にオンライン配信した

従業員が10年ビジョンを作成

同社は2008年の設立(操業は2007年)。看板工事からスタートし、2007年には建築内装事業に参入し現在は従業員10人ほどの会社になっている。強みは看板事業で、看板制作の重要な工程であるデザインから設計までを自社で行い、実際の施工は外部に発注する。つまりソフト部分に特化し看板製作の計画段階から発注企業とともに看板製作を進めていくのだ。

先述の経営ビジョンでは、この看板事業を軸に、売上高130%増を目標に掲げた一方で、建築内装事業からは段階的に撤退していくことを打ち出した。看板事業と建築内装事業に分散しているヒト・モノ・カネを看板事業に集中し、ニッチで専門性が高い看板事業を強化していくことが狙いだ。「これまで多角化を視野に拡大路線で会社を成長させていくことを目指していましたが、今後は、看板事業から派生する枝葉を成長させていくことで、看板事業を成長させる発展路線で会社を成長させていきたいと考えています」(同)。

ヒト・モノ・カネのうち、ヒト(従業員)については、冒頭の社内発表会だけでなく経営面にも積極的に参画する方針をとっている。「昨年12月、私と従業員で半年かけて、会社の将来の夢になる10年ビジョンを作成しました」(同)。

その10年ビジョンには「M&Aでの多角化」、「年収1000万円プレーヤーの輩出」、「社内起業家の創出」などが並び、7割を従業員が作成したという。ただ、新型コロナの影響を踏まえて変更した経営ビジョンとの整合性もあり、秋くらいまでに見直しを行うという。

看板事業の枝葉となる事業のアイデアも従業員から出てきている。その一つが、今春新卒で入社した従業員が考案した「サイン看板×プロモーションビデオ(PV)」で、ドローンなどを使って、自分たちの施工現場の様子を撮影するもの。実際撮影された映像を見ると、思わず見入ってしまう映像で、自社のプロモーションビデオになりSNSで拡散されれば、新たな顧客の開拓につながっていく可能性もある。それだけでなく、顧客への付加価値の創造にもなるという。「あらかじめ同意をいただいて工事費に上乗せをして撮影をするのですが、顧客にとってもプロモーションビデオとして使用することができます」(同)と話す。(実際の映像は同社ホームページで見ることができる)。

サイン看板×プロモーションビデオの動画(写真下、ハーヴィッド のホームページより)

アニメーション動画の制作も別の新卒社員の提案で始めた。こちらは、実際の事業には繋がっていないが、「これからの“動く看板”を制作していく時代に役立つと考えています」(同)。また(看板のデザイン、設計などを行う)デザイナー、クリエイターとしての自覚や自信を育むという効果や、新しい事にチャレンジできる社内の雰囲気を醸成することも期待できる。

このほか、現在代表取締役のみの役員を「近いうちに従業員の中から選出したい」(同)と話す。

一方、カネの部分では、M&Aを検討。以前は、多角化の手段と考えていたが、現在は看板事業の営業エリア(現在の営業エリアは新潟市近郊と首都圏の顧客が中心)の拡大などにつながるM&Aを考えているという。

小田利洋CEO

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