新潟大学(新潟市西区)がスマート田植機とロボット田植機の実演会を実施、学生たちが試乗体験
新潟大学(新潟市西区)は11日、土壌センサ搭載で施肥量を変えることができる可変施肥田植機「スマート田植機」と、無人で自走する「ロボット田植機」の実演会を新潟市西区で実施した。約40人の学生が参加し、試乗体験などを通じて農業DX(デジタルトランスフォーメーション)への理解を深めた。
スマート田植機は、文部科学省が公募した「デジタルと専門分野の掛け合わせによる産業DXをけん引する高度専門人材育成事業」に、新潟大学が申請した「フィールドを舞台に農業DXをけん引する高度農業人材育成プログラム」が採択されたことを受けて導入した。導入したスマート田植機は、井関農機株式会社(愛媛県)が販売する可変施肥田植機PRJ8FV型式。
スマート田植機は2つの特徴があり、1つは「直進アシストシステム」を有している点。搭載しているGPSアンテナで、人工衛星からの位置情報を受信し、ハンドルを握らずともまっすぐに田植えを行うことができる。
もう1つの特徴は、土壌に肥料を与える施肥(せひ)を土壌の状況に応じて自動調整する機能を有している点。超音波によって作土深(耕地の表面にある土の深さ)を検知する「作土深センサ」と、電流によって土壌の肥よく度を検知する「土壌センサ」の2つのセンサにより、施肥量を自動調整するという。
一方、ロボット田植機の実演では、人が乗車せずに無人で自走し、正確に田植えを行う様子を公開した。精度が高いGPSアンテナを使用しており、誤差は2センチメートルから3センチメートル程度のズレにとどめられる仕組みとなっており、労働コストの省力化を図ることができる。
新潟大学農学部の中田誠部長は、「担い手の減少や高齢化、労働力不足が深刻化している。農業における省力化、人手の確保、負担の軽減、生産基盤の維持が課題となっており、デジタル技術を前提とした新たな農業への変革、DXを実現することが重要視されている。学生、教職員、地域の農業関係者が最先端の農業技術に触れて理解することを期待している」と話した。
スマート田植機などの説明を行った井関農機の岩本一臣氏は、「農業DXを進めるうえでデータを取り、農業に活かすことは必須だ。しかし、データをとっても、それを農業にどう使っていくかを考えられる人材が必要になってくる。それを担ってくれる人材が増えて欲しい」と学生たちへの期待を寄せた。