家族で新潟市へUターンしローコード開発で中小企業のDXを支援 株式会社Pepo代表取締役 木村愛子氏

木村愛子代表取締役

ローコード開発で県内企業のデジタル化を支援したい

株式会社Pepoの木村愛子代表取締役は、今年3月、出身地である新潟市にUターン。小規模事業者や中小企業向けのシステム開発を行う株式会社Pepo(ペポ)を夫の正幸さんとともに新潟市中央区で設立した。

Pepoが得意とするのは、ローコード開発による顧客主体のDX(デジタルトランスフォーメーション)。ローコード開発とは、プログラマーでなくてもパソコンやスマホで利用できるシステムをスピーディーかつ容易に構築できる開発手法。顧客自身が業務システムを内製し、運用していくための技術サポートを行っている。

新潟で起業して半年弱だが、すでに県内企業などからの発注や問い合わせも出始めている。例えば、結婚式場専属の写真店。これまで顧客データや仕事の進捗状況などをExcelと紙で管理していたが、FileMakerを導入した。撮影のオプションを選択していくと組み込まれた計算式により、見積書や納品書を自動作成できる機能や、受注した商品(アルバム制作、ウエルカムボードなど)の進捗状況が顧客別、商品別でひと目でわかる機能など。これまでの業務に合わせ、従業員のミスや手間を減らしたオリジナルシステムを開発。

また寺院の檀家管理システムや、眼科の電子カルテの補助システム、歯科医院のスタッフのシフト管理など、一般的にシステム化されていない分野で引き合いがあるという。

 

「ほしいシステムを自分で作れる」という可能性

木村さんは新潟市の出身。大学入学とともに地元を離れ、卒業後は都内のベンチャー企業(従業員約700人)に就職。コールセンターの管理業務のかたわら、ローコードツールであるFileMakerで構築された社内システムの開発に携わった。教育学部卒でプログラミングは未経験だったが、業務を通して技術習得し、新規事業のシステム開発を任されるようになった。

仕事にやりがいを感じていたが、入社3年目で突然会社が倒産。その後、都内にある従業員約2,000人を抱えるメガベンチャーへ事務職として転職し、システム開発から離れて1年が経った頃に、前職の会社役員からシステム開発の新会社立ち上げに誘われた。システム開発のやりがいと面白さを忘れられず、株式会社サポータス(東京都飯田橋)の創業メンバーとして参加することを決意。

以来、開発者として10年近く、業種を問わず様々な企業のシステム開発に携わった。顧客の多くはIT人材が社内にいない、中小ベンチャー企業。要求された機能を数日~4週間という短期間でリリースし、変化の激しい成長期の企業から高く評価された。欲しいシステムを自分で作ることができるローコード開発は、小規模事業者や中小企業にこそ活用の場があると、可能性を感じたという。

「Excelや紙などで面倒で煩わしかった作業を自動化したり、引き継ぎに苦労していた業務をシステム化して誰でも操作できるようにしたり、職場の課題に合わせたシステムを顧客と一緒に考えながら提供しています。近年はローコード製品がたくさん増えているので、欲しいシステムを顧客自身で作ることができます。私たちはその第一歩を支援していきたい」と語っている。

FileMakerで構築された在庫管理システム

“自分たちらしさ”を求めて、Uターン起業

前職でシステム開発者として勤務する中で、結婚出産と2回の産育休を経験。2012年に1人目を出産した頃から、新潟へのUターンに対する気持ちが芽生えてきたという。その気持ちが決意に変わったのは、2人目の育休明けだった。
「2人目の産後、私も夫も仕事について考えるタイミングがあって、私は子育てに追われる中で“今後の働き方”について考え始めました。勤めていた会社の社長にも相談する中で、自由な働き方を求めるなら『自分でやろう』という結論に至りました」と振り返る。

社長や職場からの後押しも受け、独立すると決めてから、まずは個人事業主として夫婦2人で働くイメージを形にしていったという。東京で1年間、起業に向け入念な準備を行った。

夫である正幸さんは東京出身。東京以外に住むのは今回が初めて。20代前半は生命保険の営業として働き、結婚を機に家業の建設業へ転職しオリンピック開催に向けた大規模事業などに関わってきた。独立の話を聞いた正幸さんは、「好きなことを仕事にして、笑顔でいて欲しい」と背中を押した。その後、新潟での起業に向け、サポータスで営業職として再スタートし、初めてのIT業界でノウハウを学んだ。

現在はサポータスの提携企業としてシステムの受託開発を行うほか、県内企業に向けてローコード開発の技術支援を行っている。普段は夫婦で育児を調整しながら仕事にあたっているが、どうしても夫婦で夜間に取引先との打ち合わせが入ったときなどは、車で30分ほどのところに住む木村さんの両親に手伝ってもらうことも。

移住という選択肢を持ち続け、8年越しに実現した新潟へのUターン。「自分自身がはじめてローコード開発を体験した時の感動を忘れずに、東京での経験を活かして、地元企業のデジタル化に貢献したい」と木村さんは話していた。

業務システムのローコード開発サービスを提供する

【会社概要】
社名/株式会社Pepo(ペポ)
代表取締役/木村愛子氏
住所/新潟市中央区天神1−1プラーカ3 2F HUB STATION KENTO内
電話/025—278—3932
e-mail/info@pepopepo.jp
サイト/https://www.pepopepo.jp/

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