新潟県三条市内にある日本初となる近代的皆既日食の観測地と観測日食碑が日本天文遺産に認定
新潟県三条市は8日、日本で最初の近代的な皆既日食が観測された地と、その記念に建立された市指定史跡「観測日食碑」が、「明治20年皆既日食観測地及び観測日食碑」として、第2回(2019年度)の日本天文遺産に認定されたと発表した。今回認定されたのは全国で3件。なお今後、オンラインによる認定書などの贈呈式が開催される予定。
観測地および碑がある場所は、三条市内にある大崎山公園(永明寺山頂)。
1887(明治20)年8月19日の日食は、新潟県から福島県・茨城県にかけて幅約220kmの皆既帯が通り、その中心は新潟県三条市、栃木県那須塩原市、茨城県高萩市を結ぶ線上にあって、専門家だけでなく一般市民の多数が観測に参加したという。また、この皆既日食ではコロナの写真撮影が行われ、外国からも観測隊が来日するなど、日本で最初の近代的な日食観測となった。
さらに、当日の天候は不安定で、実際に日食が観測できたエリアは限られたが、三条市では望遠鏡によるコロナの写真撮影も成功し、国外の文献でも報告されている。
なお荒井郁之助(地理局次長、後に初代中央気象台長)らにより、永明寺山頂で観測が行われたが、その場所に「観測日食碑」がある。
日本天文遺産は、日本天文学会が天文学や暦学に関する国内の貴重な史跡・建造物、物品、文献を認定する制度で、文化的遺産として後世に伝え、活用を促すことを目的に、2018年度に創設された。
第1回は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけての歌人・藤原定家の日記「明月記」(京都府京都市)と、江戸時代に会津藩校日新館に建造された天文台の遺構「会津日新館天文台跡」の2件が認定されている。