1年生へ産業の歴史や「ものづくり」への姿勢を語る、三条市立大学(新潟県三条市)で燕三条地域の技術者・経営者が講演
三条市立大学(新潟県三条市)は27日、授業の一環として、今年入学した同学の2期生を対象に燕三条地域の技術者や経営者による講演会を開催した。講師は金属加工産業のメッカである同地域の歴史や「ものづくり」に対する姿勢などを語った。
三条市立大学は2021年に開学。工学と経営の融合を目指したカリキュラムや、地元・燕三条の企業へのインターンを通じた実践的学習を特徴とする。
1年次の必修科目である「燕三条リテラシ」はその導入に位置づけられ、地元企業の技術者・経営者がオムニバス形式で講演。これまで株式会社玉川堂(新潟県燕市)や株式会社諏訪田製作所(新潟県三条市)の代表が登壇してきた。
その第7回・8回目となる27日の授業では、燕市に工場がある富士通フロンテック株式会社(東京都)の名誉マイスター・五十嵐清英氏が、「ものづくり」の真意や楽しさについて、株式会社髙儀(新潟県三条市)の八代目・髙橋竜也代表取締役社長が、燕三条金物の流通の歴史を自社の沿革と絡めつつ解説した。
また講演の後に学生たちは、工具を製造・販売する髙儀の指導のもとワークショップとして「ねじアート」を制作した。1年生である彼らにとっては、初の工学実習となる。三条大学の職員によると、入学生には工具を使ったことがない学生も多く、今回は彼らへ基礎的な工具の使い方や楽しさを教える意味合いもあるという。
県外から進学してきた学生はワークショップを経て「慣れてない作業だったので、ねじを垂直に入れるのが難しかった」と苦戦した様子を語りつつも笑顔を見せた。また五十嵐氏の講演で「単に製品をつくることと、製品プラス付加価値で作られる『モノ』をつくることの違いを知った。自分自身この大学を選んだが、そうしたところまでは考えていなかった」と話す。
一方、県内の工業高校出身の学生は「興味があって燕三条地域の産業については調べたことがあるが、個別の企業の歩みまではなかなか調べづらかった。今回のように、企業の代表から直接聞ける機会があってよかった」と話した。
今後「燕三条リテラシ」では、燕三条の企業への見学が主な内容となっていくという。一方で、2年生も今年から企業での実習がいよいよ本格化していく。三条市立大学の独自性が現れ、学生たちの智慧がさらに深化していくことに期待したい。
【関連記事】
三条市立大学(新潟県三条市)で「工学と経営の融合」を実践する地元企業・諏訪田製作所と玉川堂の代表が講演(2021年6月19日)