まもなく結核予防週間、今年は新型コロナ感染の影響で患者の発見の遅れが懸念
高杉晋作氏をはじめとする少なからずの幕末の偉人も患った結核。
現在でも結核は世界の死亡原因のトップ10の中に入っていて、昨年は世界で150万人が死亡したという(HIVとの重複感染者2万5,100人を含む)。また1,000万人が新たに結核に罹患した。
日本においては、2019年の結核の新規登録患者数は1万4,460人だった(罹患率は人口10万対11.5)。1万4,460人のうち外国出生者が1,541人、高齢者が6,028人と多いことが課題となっているようだ。
結核予防会新潟県支部の資料によると、新潟県の新規結核患者登録者数は平成30年で178人。罹患率は人口10万人対7.9と全国で4番目に低い。だが、新潟県では新たに結核を発病した患者に占める高齢者の割合が5割で全国より高い傾向にあるという。
こうした状況下、日本では「結核に関する特定感染症予防指針」において、2020年を低蔓延国化(罹患率が人口10万人対10以下)の目標を達成する年に設定している。また厚生労働省は毎年9月24日から30日を「結核予防週間」と定め、結核に関する正しい知識の普及啓発を図っている。結核予防会でも、周知ポスターやパンフレット「結核の常識」などを作成配布するとともに、「全国一斉複十字シール運動キャンペーン」として全国各地で街頭募金や無料結核検診、健康相談などを実施して、結核予防の大切さを伝える活動を行っている。
ただ、昨今は、新型コロナウイルス感染症の影響により、結核検診の実施遅れに伴う、患者の発見の遅れが懸念されているそうだ。「結核予防会ニュースリリース(2020・9)」によると、実際、今年1月から4月の日本における結核患者登録数は年前より下回っていて、原因については、ソーシャルディスタンスなどの普及で結核観戦が低下した可能性がある一方で、新型コロナウイルス感染症に伴う検診や受診の遅れなどにより患者発見の遅れが起こっている可能性があるという。
こうしたなか、大事になってくるのが、罹患の見落とし防止。
肺結核の症状には風邪と共通するものが多く、「大したことはないだろう」と考え受診が遅れたりすることがあるが、こうした見落としを防ぐためには、医療従事者だけでなく、すべての人々が結核を正しく知ることが重要という。
結核予防会のホームページにあるQ&Aによると、2週間以上、せきや痰(たん)、微熱が続くようなら、早めに病院にかかることをすすめている。
なお厚労省では、結核患者数が多い国の国籍を有し中長期在留をしようとする人に対し結核非発病証明書の提出を求める入国前結核スクリーニングを7月1日以降、調整の整った対象国から開始しているそうだ。
結核予防会は、昭和14年4月28日、閣議決定により設立された公益法人。秋篠宮妃紀子殿下が総裁を務めている。