佐藤元保代表取締役CEOが謝罪、三幸製菓株式会社(新潟市北区)が火災事故後初めての会見
三幸製菓株式会社(新潟市北区)は31日、三幸製菓荒川工場(新潟県村上市)で2月に従業員計6人が死亡する火災が発生して以来、初めてとなる記者会見を開き、佐藤元保代表取締役CEOが火災の概要や従業員が死亡した原因などを説明した。
荒川工場では2月11日、従業員6人が死亡した火災事故が発生。これを受け三幸製菓は全3工場で生産を停止しており、現在は再稼働へ向け、新潟労働局による各工場の労働環境の確認などを実施している。
31日の会見は新潟市北区の本社で開催した。会見の冒頭で佐藤CEOは「亡くなられた6人の従業員とそのご遺族に、心よりお詫び申し上げます。誠に申し訳ございませんでした」と謝罪した。なお、これまで記者会見を開かなかったことについては「事故の直後に記者会見を開くべきとの指摘もいただいたが、当社としては、火災の被害者と遺族に直接対面での謝罪をまず行うべきと思い、また関係者へは都度質問に答えてきた。今回、事故の事実関係や原因、再発防止策を一定の説明ができる状況となったため、この場(31日の記者会見)を設けた」と説明する。
会見では、専門家を交えた社内の事故調査委員会からの1次報告をもとに火災の概要を解説。火災の原因については現時点でも調査中としているが、事故当日の23時40分前に火元と思われる焼釜室近くを通った従業員が仕上げ乾燥機の上方に炎が広がっているのを発見した。従業員は別の従業員へ連絡を入れたが、その時には味付け場の天井は炎に包まれており、初期消火は間に合わない状況であったという。
その後、建物の断熱のために施工されていた発泡ウレタンが燃え、1階天井に沿って水平方向に延焼していった。今回の会見では、この際に燃えたウレタンからの黒煙が、避難が困難になった要因のひとつでもあると説明する。火災の認知から視界の喪失までが早く、非常出入口から遠くにいた従業員や、非常出入口の場所を認知していなかった従業員の避難が困難だった。
こうした調査結果を受け三幸製菓は会見の中で再発防止策を掲示。火災の早期発見と通報・避難できるようにすることや、避難経路の確保とそれを見つけやすいように整備すること、避難を確実にするための情報提供・意識共有といったソフト面、火災拡大時に備えた十分な消防水利の確保の4点を取り組む。
また社内風土に関して佐藤CEOは「代表取締役就任当初から、従業員の声を聞き改革へつながる取り組みをしてきたが、まだまだ足りなかったと強く感じる」と語り、コンプライアンス面での改善を今後も進めていくという。
また、当初は5月中旬ころから順次工場を再稼働し、6月から販売再開する予定だったが、消防などから追加指導を受けたことから、現時点では再稼働時期は未定とした。今後、消防による立ち入り検査や、遺族への説明などを経てスケジュールを決定する。
なお三幸製菓では暫定的に、佐藤CEOを含む経営陣の報酬を減額する処分をとっている。「経営者としてまずは原因究明と再発防止を徹底することが使命であると考えているが、今後調査の最終結果や行政処分の内容をふまえて(さらなる処分も)検討していく」(佐藤CEO)という。
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