5日間の壮絶な闘い、新潟市南区で名物イベントの「白根大凧合戦」が3年ぶりに開催中
2日から6日まで新潟市南区白根地域で引き継がれてきた「白根大凧合戦」が3年ぶりに開催されている。信濃川の支流の中ノ口川(川幅80メートル)を挟み、東軍(白根側)と西軍(西白根側)に分かれて、13組が5日間競い合い、技能優勝と総合優勝を決めるという。
凧合戦は中ノ口川に沿った北風が吹くときに最高のコンディションになる。北風と、南から流れる川の流れが、合戦を行う上で最大のポイントだという。明確なスタートの合図はなく、両岸に待機した組合員が相撲の立ち合いのように息を合わせて開始する。
最初に東軍の組が凧を西軍側の堤防めがけて揚げ、低空で相手を待ち、次に西軍側の凧が上空から、相手の凧綱を交差させ、真っ逆さまに水面に突っ込ませる。縄が絡み両方の凧が落ちたら、川の流れを利用して綱をより強く絡める。すると、凧の綱引きが始まる。互いの綱を引きあって、相手の綱を切ったほうが勝ちになる。そして、期間中の通算成績で順位が決まる。
ルーツは江戸時代中ごろまで遡り、旧白根町の人が中ノ口川の堤防完成を祝って藩主から送られてきた凧を揚げたところ、対岸の西白根地区に落ち、家や農作物を荒らした。これに怒った西白根側の人が対抗して凧揚げをし、白根側に叩きつけたことが起源で凧合戦が始まったといわれている。
13組の内わけは、東軍(白根側)が「役者組」「五郎組」「本新蝶組」「桜蝶組」「大高組」「鯛町組」の6組。西軍(西白根側)が「達磨組」「中蝶組」「一心太助組」「北若組」「謙信組」「弁慶組」「日吉丸組」の7組。計13組が競い合い、技能優勝と総合優勝という2つの優勝枠をかけて争われる。
参加する人の熱量は高く、普段務めている会社を休んでまで参加している人も少なくないそうだ。各組によって、「白根大凧合戦」への価値観が違うのも特徴だ。
東側(白根)の役者組の堀口嵩紘副会長は「実際に凧を揚げている人から見たら、凧合戦は祭りではなく競い合いだ。本気でやっている。街自体の活性化に繋がるというのもそうだが、スポーツと一緒で観客が応援して盛り上げてくれると揚げてる側も更に盛り上がるからドンドン来て欲しい」と意気込みを語った。
西側(西白根)の中蝶組の真水隆広(しみずたかひろ)役員は、「凧を揚げることが楽しいということはもちろんだが、地域の繋がりのためにもやっている部分もある。『最近体調どうだ?』という話を、顔を合わせて集まるちょうど良い機会にもなっている。優勝も狙っているがそういう交流も同じくらい大切だ」と地域振興と交流の大切さを語った。
3年ぶりの開催で地元は活気づいている。YOUTUBEなどを通じて生配信がなされるなど、現代風の変化も起きてきている。参加者だけではなく公共機関が官民一体となって、もっといえば周辺の地域そのものが1つになって、大凧合戦は開催されている。
役者組の堀口副会長は「来年以降の目標は優勝。優勝のためにみんな集まっているので、ダメだったことは反省して、来年またそれを改良してやっていく」と熱心に語ってくれた。
この言葉だけでもこのイベントの参加者の熱量の高さが伝わるだろう。さて、今回の優勝する組はどの組になるのだろうか。5日間の熱戦は続いている。
(文・児玉賢太)