IT化、漁場の保全、6次産業化などが進む新潟県のブランド海老「南蛮エビ」

南蛮エビ(写真提供=新潟県南蛮エビブランド化推進協議会)

漁師の後継者不足も深刻な問題になってきている中、新潟県のブランドエビである南蛮エビの底引き網漁で近年、IT化が進んでいる。底引き網にセンサー類を取り付けて熟練の漁師達が感覚でやっていたことを「見える化」するようになってきているのだという。

具体的には、センサー類で水深を感知しながら漁場の状態を把握し、今まで感覚で行っていた船の操縦や網を降ろす深さを数値化し、現状の漁に反映させている。ただ現段階では、まだ実験段階の話で、漁業組合では新潟県内の各研究所と協力し、技術の確立を目指している最中だという。

南蛮エビは正式名称を「ホッコクアカエビ」という。甘エビと呼ばれているが、新潟では色や形が赤唐辛子(南蛮)に似ている事から「南蛮エビ」と呼ばれている。5歳までの小さい間はオスで、6歳になるころメスに性転換する。つまり、大きな南蛮エビはすべてメスである。

南蛮エビが水揚げされるのは、佐渡島の北方や県南部にある天然漁礁といわれる漁場。エビ籠漁業や沖合い底曳網漁業を用いる。県内各地で水揚げされているが、主な水揚げ港は佐渡市両津港、赤泊港、新潟市新潟港、糸魚川市姫川港。佐渡市はエビ籠漁業、新潟市、糸魚川市では底曳網漁業で漁獲される。

ただ冒頭に記したように、漁師の後継者不足も深刻な問題になってきている。「船長は起きてることが仕事」(ある漁協関係者)と言われるほど過酷な労働環境が一因になっていると思われる。こうした中、“海のIT化”が労働環境の改善に一役買ってくれれば、現状の担い手不足も少しは改善されるのかもしれない。

一方、南蛮エビを巡っては、IT以外にもいくつかの取り組みが行われている。

その一つが漁場の保全。漁業者による定期的な海底掃除が行われており、ゴーストフィッシングと呼ばれる、水中に放出・廃棄・投棄された漁具が水生生物に危害を与えている現象を軽減しているのだという。ただ、投棄されるのは漁具だけではなく、漁師以外が投棄したゴミの存在に頭を抱えている。

6次産業化の動きも出てきており、「南蛮エビ醤油」という商品を県内企業が販売指定る。南蛮えびの風味を活かした商品で、南蛮エビと握りの相性は抜群という。なお1.5キログラムの南蛮エビからできる「南蛮えび醤油」はわずか1リットルほどという。

(文・児玉賢太)

(写真提供=新潟県南蛮エビブランド化推進協議会)

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