新潟県内で地域エネルギー会社の設立や構想が相次ぐ
太陽光発電や洋上風力発電などの再生可能エネルギーが注目される中、新潟県内では相次いで、地域エネルギー会社の設立や構想が浮上している。
新潟市では2019年に、JFEエンジニアリングや株式会社第四北越フィナンシャルグループと共同で、新潟市内の公共施設に電力を供給する新たな地域新電力会社「新潟スワンエナジー株式会社」を設立した。
スワンエナジー株式会社は、廃棄物による新潟市新田清掃センター(新潟市)に新潟市内から運び込まれる1日約330トンのゴミを焼却する際の輻射熱を使った電力、新潟市アイスアリーナ太陽光発電所(新潟市)の電力など幅広く電力を調達し、新潟市西区役所、東区役所、中央図書館、中央卸売市場などの公共施設に供給している(電力調達先や供給先は同社サイトに掲載されている)。
柏崎市でも「地域エネルギー会社」の設立検討・準備会の初会合が8月末に市役所で開かれた。地域エネルギー会社とは、地域の生活や経済活動に欠かせないエネルギーを自律的に賄う枠組みによって、地域経済の基盤を創出する活動。主に卸電力市場から電力を調達し、市の公共施設に供給する形で始め、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働後は、原発からの調達を検討するという。
さらに、阿賀野市でも地域エネルギー会社の設立の構想が浮上している。
阿賀野市には、現在、県が運営する17メガワットの新潟東部太陽光発電所があり、スイスの太陽光発電事業者であるEtrionが出資するエトリオン・エネルギー6合同会社が同市山寺で出力45メガワットのメガソーラー建設を進めているほか、東京産業株式会社がゴルフ場跡地(笹神ケイマンゴルフパーク)で出力23メガワットのメガソーラーの建設が進めており、いずれも来年にも竣工する予定。
また、四電エンジニアリング株式会社(香川県)が施工者となり、2021年12月をめどに45メガワットのメガソーラーを阿賀野市の大室地区と近隣の大日地区で稼働を開始する予定で、現在工事が進められている。これらが完成すれば、合わせて約130メガワットの発電能力になる予定で、県内トップのメガソーラーの一大集積地となる。
まだ検討段階だが、阿賀野市内でメガソーラーを運営もしくは運営予定の4社共同で地域エネルギー会社を設立、メガソーラーで電力を安定的に供給し電力会社に販売するというものだ。
阿賀野市の田中清善市長は「地方には専門の人材がいないので、プランニングする人の派遣などを環境省から支援してもらいたい」と話しており、専門スタッフの派遣が急務との考えを示した。
地球温暖化を招く二酸化炭素の削減や、脱石炭火力の流れが加速する中で、再生可能エネルギーの「地産地消」が新潟県内で進むかどうか今後の動向が注目される。