北越メタル(株)(新潟県長岡市)が筆頭株主のトピー工業(株)(東京都)の株主提案に対して反論意見を公表
鉄鋼メーカーの北越メタル株式会社(新潟県長岡市)は8日、同社の筆頭株主であるトピー工業株式会社(東京都)が5月27日付けで公表した「北越メタル株式会社に対する株主提案に関するお知らせ」および31日付けで公表した「北越メタル株式会社の第106 回定時株主総会の会社提案議案に対する当社の議決権行使の方針に関するお知らせ」についての意見を発表した。
北越メタルが公表した意見(サマリー)では、トピー工業の提案は、従属上場会社(実質的な支配力を持つ株主を有する上場会社)のガバナンスに関する原則に反していると指摘。
具体的には、支配的な株主を有する上場会社においては、支配的な株主と従属上場会社との間に利益相反が生じ得るという構造的な問題があるため、利益相反の監督を行うことが期待されている「独立社外取締役」が重要であるという。こうしたことを受け、北越メタルでは取締役5人のうち、過半の3人が社外取締役(うち2人が独立社外取締役)にしているほか、社外取締役3人を含む指名・報酬委員会を組織するなど、従属上場会社におけるガバナンスのあるべき姿を体現しているという。
だが、今回のトピー工業による株主提案および北越メタルが提案した取締役選任議案などに対する反対意見表明は、トピー工業の要求を拒否した北越メタルの独立社外取締役2人を排除するなど北越メタルの実効的なガバナンス体制を形骸化させ、トピー工業の意向・利益を不当に優先させるためのものであるとしている。そして、一般株主にとって、北越メタルの提案とトピー工業の提案のどちらが、従属上場会社のあるべき取締役構成であり、また、一般株主の利益となるかは明らかだとしている。
一方、昨年2月に、トピー工業から、トピー工業の執行役員を北越メタルの次期取締役候補として受け入れるよう要請があったが、 その理由は「トピー工業の執行役員に取締役の勉強をさせたい」などとトピー工業の利益を図るものに過ぎないと判断し、要請を受け入れなかったという。 こうしたことから、トピー工業は、北越メタルの指名・報酬委員会の委員(独立社外取締役2人を含む)を排除するなどという株主提案を行ったとしている。
独立社外取締役を強引に排除して、 指名・報酬委員会を形骸化させようとするトピー工業の一連の行為は、従属上場会社における実効的なガバナンス体制を崩壊させるものであることから断じて許されるものではなく、また、コーポレートガバナンス・コ ードや経済産業省のグループガバナンス指針にも反するものであるとしている。
さらに、会社法の第一人者である東京大学田中亘教授からも、トピー工業の提案は、北越メタルのコーポレート・ガバナンスを弱体化させるものであり、トピー工業の提案が可決されれば、北越メタルとその少数株主の不利益となるおそれがあることに加え、ガバナンスの重要性についても軽視しているとの印象を与え、自社の名声・評判の低下、自社の投資家株主との関係悪化を招くといった不利益が生じうるという意見を得ているという。
このほか、 中期経営計画を完遂するためには、一貫的かつ継続的な経営のもとで、強いリーダーシップが必要であり、「天下り」や「腰掛け」のリーダーでは真のリーダーシップを発揮できないと指摘。このため、北越メタルは、指名・報酬委員会などの公正かつ客観的なプロセスを経て、現経営陣5人の再任が北越メタルの企業価値の向上に最適であるという判断に至ったという。
なお意見は北越メタルのホームページで見ることができる。