第1回新潟県鳥獣被害対策本部会議が開催され、昨年度の鳥獣被害対策の実績が話し合われる
新潟県は13日、新潟県庁で第1回鳥獣対策本部会議を開き、令和3年度の鳥獣による被害状況と令和4年度の取り組みなどについての報告が行われた。また、11日に新潟県胎内市で発生した今年度初めてのクマによる人身被害についても報告があった。
令和3年度の新潟県の鳥獣被害の状況は、鳥獣捕獲対策を強化したため、全体的に令和2年度の鳥獣被害から減少傾向にある。ただ、令和元年度以前と同水準ということで農作物などへの被害はまだまだ注意が必要だという。
冒頭の挨拶で本部長の佐久間豊副知事は、11日に胎内市で発生したクマによる人身被害に触れ、「被害に遭われたかたに心よりお見舞いを申し上げます。県としては、クマ出没警戒注意報を発表するとともに、6月11日から2か月間をクマ出没警戒強化期間として、県民の皆様に注意喚起を行っていく。関係機関、団体からの協力をお願いしたい」と語った。
令和3年度の野生鳥獣による農作物被害の総額は、約2億5、000万円で、前年度比約79パーセントと減少した。被害金額が減少したのは、イノシシの被害を減少(減少額、4,700万円)させたことの影響が大きいとした。
令和3年度の新たな取り組みとして、新潟県内120地点に自動撮影カメラを設置し、クマなどを撮影した。撮影結果などから、クマの生息数を約2,000頭と推定した。クマだけでなく、イノシシやニホンジカの生息状況の状況調査にも活用しているという。また、ツキノワグマの近年の分布域は拡大傾向にあり、10年間で分布域は約1.5倍に拡大しているという。
令和4年度以降は、野生鳥獣と人間の活動レベルに応じて、「野生鳥獣の活動を優先するゾーン」「人間活動を優先するゾーン(防除地域・排除地域)」「緩衝地帯とするゾーン」の3つに区分し、各ゾーンにおいて、関係者が目的に沿った有効な対策を実施していく予定だという。
新潟県農林水産部参事農産園芸課長の神部淳(かんべまこと)鳥獣被害対策支援センター所長は、「今の時期は、子クマと母クマが一緒に行動する時期になる。子クマを見かけたら近くにクマがいるという状態になるので、見かけたら静かに立ち去るということを徹底して欲しい。もし、クマと遭遇して自分のほうに向かってくるという状況になった場合、迷わず防御姿勢をとってもらいたい。詳細については県のホームページで確認して欲しい」と注意喚起した。
【関連サイト】
鳥獣被害対策支援センターホームページ
(文・撮影 児玉賢太)