(小ネタ)社史編集事業のために社史を読む
新潟屈指のスーパーマーケット創業者で豊栄生まれの原さんの話
にいがた経済新聞では、社史などを含む編集請負事業を始めた。そこで参考のため、色々な社史を読もうかと、新潟を代表する会社の一つである原信の誕生九十年記念誌「歩みの原信三十年」を読んでいる。
持株会社のアクシアル リテイリングは、長岡市に本社を置き、スーパーマーケット「原信」「ナルス」「フレッセイ」などを展開するが、そのなかの原信は、1907年に原信吾さんが長岡市で創業した「原蝋燭店(はらろうそくてん)」が始まりのようだ。新潟市民の私も、ずいぶん昔、原信の店内で「お出かけですか 長岡の奥さん お買い物♪」というBGMを何度も聞いているので、長岡の企業だということは子供心に想像がついた。
だが、社史によると、意外なことに創業者の原信吾さんは豊栄(旧新潟市北区)という(関係ないが、にいがた経済新聞も旧豊栄で立ち上がっている)。庄屋であった原藤兵衛が開発した旧豊栄市の太子堂の出身で、少年の時、花の都・東京に憧れ、一人上京したそうだ。家にあった薪を背負えるだけ背負い、東京を目指したが、東京はあまりにも遠く、たちまち一文無しとなった。道々、日雇い労働の口を求め、飢えをしのいだ。何とか東京にたどり着き、越後屋という蝋燭店で蝋燭づくりの修行をしたという。その後、長岡出身の吉岡さんと結婚し、長岡で蝋燭の製造を始めたそうだ(社史はその後も小説のような感じで書かれている)。
社史の仕事を本格的に始めると、新潟の企業の知られざる歴史に出会えるかもしれないと感じた。