新潟市江南区で3箇所の遺跡の発掘調査説明会、多くの見学者が訪れる
新潟市文化財センターは10日、新潟市江南区の「道正遺跡」、「岡崎遺跡」、「曽我墓所遺跡」を一般公開した。説明会には地元の住民などが多数参加し、遺構や出土品についての解説に耳を傾けた。
「道正遺跡」と「岡崎遺跡」は共に新潟市江南区割野で、新潟中央環状線工事に伴う試掘調査で発見された遺跡。「道正遺跡」は昨年から調査が開始され、これまでに縄文時代晩期(約2,700年前)、古墳時代前期(4世紀)、平安時代(9世紀)の遺物と遺構が見つかっている。「岡崎遺跡」は今年6月から調査が開始され、主に平安時代の遺物が見つかっている。炉を使用した跡と思われる遺構が見つかっていることからは製鉄が行われていたことが考えられる。また、墨書の見られる土器や石製のベルトの留め具が見つかっていることから、知識階級や高貴な人物がこの地に住んでいたことが伺える、貴重な遺跡でもある。
現在は地面が沈下し水田の下になっているものの、かつてこの一帯は砂丘で、新潟平野の沼や湿地を避けるようにして高台に人が居住したと考えられている。なおこの一帯は、現在も周囲より標高が高くなっている亀田砂丘の延長線上に存在する。
「曽我墓所遺跡」は江南区横越下郷で、今年4月からの雨水調整池建設工事に伴って調査が開始された。阿賀野川左岸の自然堤防の上にある遺跡で、こちらは主に奈良時代の遺物、遺構が見つかっている。中でも、鳥を模した足のついた環状瓶は県内初の発見であるという。これらの遺跡で発見された遺物や遺構の情報は、新潟市文化財センターで保管、展示される予定である。
曽我墓所遺跡のある新潟市江南区横越
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